分流式・合流式の違いを理解する前提になります
どちらも「下水」と呼ばれますが、実は流し方も守り方も違います。
仕組みを知らないままだと、豪雨のニュースで聞く「浸水」「越流」「合流式」といった言葉が、点のまま終わってしまいがちです。
本記事では、下水の基本である汚水と雨水の違いを整理したうえで、
分流式・合流式下水道それぞれの特徴と課題を、図と会話でやさしく解説します。
さらに、都市型水害に備える雨水貯留施設・雨水貯留管、雨天時越流水(CSO)対策、
自治体が進める浸水対策・雨水対策の全体像まで、現場で「説明できる」レベルでまとめました。
自治体の下水道担当者や維持管理業者はもちろん、
「なぜ浸水が起きるのか」「豪雨対策は何をしているのか」を体系的に理解したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
まずは、下水道が暮らしと雨をどう支えているのか、全体像から見ていきましょう。
下水ってなに?暮らしと雨を支える下水道のしくみ
管 とおる
→排水設備って何?家庭から下水道までの流れを簡単解説(第1話)
ところで、下水ってお風呂やトイレの水だけだと思われがちだけど、実はそれだけじゃないんだ。
諏訪 美管
管 とおる
大雨や台風のとき、街が水に浸からないように雨水も下水道を通って排水されてるんだよ。
下水とは? 2種類の水「汚水」と「雨水」の違い
下水は、大きく分けて「生活排水などの汚水」と、
「雨の日に流れ込む雨水」の2種類に分類されます。
雨水は、道路や屋根に降った雨が雨水マスを通って排水され、
家庭の汚水とは異なるルートで処理されることがあるんです。
雨水排水が都市の安全に直結していることを実感した場面
雨水の排水がしっかりしていることで、浸水被害の防止につながります。
ちなみに下水道の仕組みには、「分流式」と「合流式」の2つの流し方があるんだよ。
分流式と合流式って、どう違うんですか?
分流式と合流式とは? 下水の流し方の基本解説
下水道には、「分流式」と「合流式」という2つの流し方があります。
これは、生活排水(汚水)と雨水を分けて流すか、一緒に流すかの違いによるものです。
分流式とは? 汚水と雨水を分けて流す方法
メリット
- 汚水が確実に処理場へ運ばれるため、河川や海への汚染が少ない
- 下水処理場の処理対象が汚水だけのため、規模を抑えられる
デメリット
- 雨水や地下水が誤って汚水管に入ると、処理能力を超えるリスクがある
- 配管の誤接合が発生すると設備トラブルにつながる
合流式とは? 1本の管で汚水と雨水をまとめて流す方法
メリット
- 配管が1本なので工事費が抑えられ、構造もシンプル
- 維持管理が効率的で、配管の点検も容易
デメリット
- 雨天時に処理しきれず、未処理の汚水が河川に流れる恐れがある
- 大口径の管が必要で、晴天時は汚れが溜まりやすい
最近できた街では分流式が主流なんだ。
ちなみに、汚水の管理は下水道使用料から、市町村が処理していて、雨水は税金で管理されているんだよ。
合流式下水道の課題と対策とは?
合流式下水道では、生活排水(汚水)と雨水を1本の管でまとめて流す仕組みのため、以下の3つの大きな課題があります。
① 汚濁負荷量の削減
分流式下水道と同等レベルの水質管理が求められます。
② 公衆衛生の確保
未処理の放流回数を減らす必要があります。
③ ごみ・異物の流出防止
きょう雑物(ビニール類、衛生用品、たばこの吸い殻など)が川や海に流出しないような仕組みが必要です。
その対策の一つが、「雨水吐き室(うすいばきしつ)」と呼ばれる施設です。 大雨で下水道があふれそうになったとき、一時的に処理場を経由せずに河川へ放流する仕組みになっています。
普段は下水処理場へ流れていく下水も、ゲリラ豪雨などで処理しきれないと、越流堰(えつりゅうぜき)を超えて、未処理のまま公共水域(河川や海)に放出されてしまうのです。
放流される水は雨水で薄まっているとはいえ、水質汚濁の原因になります。
そのほうがシンプルな気がしますけど…。
分流式に切り替えるには、新しく道路に雨水管を通したり、
各家庭の排水設備も全部直す必要があったりして、ものすごくお金と時間がかかるんだ。
合流式から分流式への切り替えが難しい理由
- 新たに道路へ雨水管を敷設する大規模工事が必要
- すべての家庭の排水設備を汚水・雨水で分け直す必要がある
- 雨水に含まれる汚れ(路面の油や土砂など)をどう処理するか別途対策が必要
つまり、分流式への変更には莫大な費用と時間がかかるため、現実的に難しいのです。
現状のままでできる対策:雨水貯留施設の活用
その代わりに、貯留施設と呼ばれる巨大な地下タンクのような設備を整備して、
大雨時の雨水を一時的にためてから排水する方法が各地で導入されています。
たとえば2020年、東京都渋谷区に完成した施設では、最大4,000トンの雨水を一時貯留できるようになりました。
引用元:テレ東NEWS
地下宮殿みたいな施設、すごかったです!!
雨水貯留管とは? 都市型水害への備え
大都市で深刻化する都市型水害に備え、地下に大容量の雨水を一時的にためておく 雨水貯留管が各地で整備されています。
たとえば東京都中野区~杉並区を通る「和田弥生幹線」は、国内最大級の雨水貯留管のひとつです。
- 直径:約8,500mm(8.5メートル)
- 延長:2.2km
- 貯水容量:約120,000m³
下水道の浸水対策と全国の事例
都市化や地下開発の進行により、雨水が排水されにくくなり、内水氾濫や洪水氾濫が発生しやすくなっています。
こうした水害を防ぐため、各自治体では【ハード】と【ソフト】の両面から対策を進めています。
▼ハード対策: 貯留施設、透水性舗装など
▼ソフト対策: ハザードマップの整備、防災情報の提供
下水道を活用した総合的な浸水対策も重要です。
自治体の施策を整理すると全体像がつかめます
浸水対策の効果的な実施事例
■岡山県岡山市
過去の浸水被害を踏まえて下水道整備を実施。平成30年の豪雨では整備済み区域で被害を大幅に軽減。
■広島県広島市
時間降雨量53mm相当の雨に対応できる貯留施設(14,000m³)を整備。豪雨でも浸水ゼロを実現。
逆流・緊急時に備える最新設備「止水プラグ」
どの市町村も水害や住民の暮らしを守るために、いろいろな工夫をしてるんですね!
2020年に発売された常時設置型の「セーフティプラグ」は、 業界でも注目されている止水設備なんだ。
事故時の有害物質流出にも対応可能で、いわば“下水道の防火シャッター”!
結局、お風呂の水は「公共ます」のあと、どこに行くんでしたっけ?
次回はお風呂の排水がどこに流れ、どうやって処理されるのかを詳しく説明するよ!
今日の話もすごく勉強になりました。
下水道って、まさに「縁の下の力持ち」ですね!
次回のブログ記事として、以下の内容をご紹介いたします。
諏訪 美管
次の話はこちら:
水道から下水道処理場までの水の旅(第3話)
家庭から排出された水が下水道を通じて処理場に至るまでの流れを、初心者にも分かりやすく解説しています。
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