管 とおる
諏訪 美管
とおるさん、わたし慢性的な横文字アレルギーなんですけど、『ウォーター』は水だとして、『PPP』って何のことですか?意識高い系の人たちが使う言葉ですか?
→【第29話】官と民の共同作業 包括的民間委託で効率化←
2023年の6月に国土交通省で「ウォーターPPP」の推進を強く打ち出したからなんだ。
公共施設を改善するための『PFI推進会議』で岸田総理からも水分野の取組みを強化するよう発言(※)があったり、「ウォーターPPP」は自治体の課題解決に有効とされていて、とにかくいま注目を集めているんだよ!
・・・ので簡単に説明お願いします!!
ウォーターPPPとは?
民間業者が長期的に公共施設を管理することができて、「管理・更新一体マネジメント方式 レベル3.5」と
「コンセッション方式 レベル4」をあわせて「ウォーターPPP」って言うんだよ。
すみません、既に分かりません(・・;)
これまでも官民連携方式がいくつかあったと思うんですけど何が違うんですか?
レベル3.5とかレベル4ってのは民間がどこまで介入できるかっていうレベルのことだよ! 下の図を見てみて!
今回新しく設定された3.5の『管理・更新一体マネジメント方式』とレベル4の『コンセッション方式』を合わせてウォーターPPPっていう方式にしたわけ!
レベル4 コンセッション
特定の事業を行う権利や許可を政府や地方自治体などの公的機関から獲得すること。またはその権利や許可を得て事業を運営することを指します。
コンセッションは、公共の建設・運営(例:道路、橋、空港など)、
公共サービスの提供(例:上下水道、電力など)、
または特定の商業活動(例:市場、フードコートなど)など、さまざまな分野があります。
契約した事業者は一定期間、事業を展開することができるようになります。
コンセッションは一般には数年から数十年の長期間にわたります。
それに業務範囲の広いレベル4のコンセッション方式でも所有権は自治体にあるからね!コンセッションは一定期間運営・管理権を民間に委託するっていう制度だよ!
なんか2種類あると混乱します(・・;)
レベル3.5 管理・更新一体マネジメント方式
例えばみかんちゃん、 みかん市の施設、みかん博物館を運営する権利があったらどう思う?
※2023年からのガイドライン変更箇所
コンセッションを前提とした記載が、コンセッションを選択肢として検討していただきたいに変更されました。
第1.1版 第36回PPP/PFI検討会等資料(R6.6.28)
ウォーターPPPに関するQ&A 令和6年4月24日時点
- Q: レベル3.5の後、コンセッション方式に移行することとされているが趣旨如何?
- A: レベル3.5の後継としてコンセッション方式(レベル4)を選択肢として検討いただきたいという趣旨です。
- Q: レベル3.5(原則10年)の後、コンセッション方式に移行しない場合、ペナルティが発生するか?
- A: レベル3.5の後継としてコンセッション方式(レベル4)を選択肢として検討いただきたいという趣旨であり、ペナルティが発生することは想定していません。
コンセッションは義務ではなく、検討事項となります。
レベル3.5の【管理・更新一体マネジメント方式 】の期間で、しっかり状況把握と修復などの投資をしてから、
レベル4で運営にあたってね。ってことの意味がウォーターPPPにはあるんだよ。
画像引用元:国土交通省 PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)の概要 抜粋
ウォーターPPPの条件とは?
①長期契約②性能発注③維持管理の更新と一体化マネジメント④プロフィットシェアの4つの要件を満たせば入札に参加することができるよ!
① 長期契約(原則10年)
企業の参画意欲、地方公共団体の取組易さ、スケールメリット、投資効果の発現、雇用の安定、人材育成等を総合的に勘案し、 従来の包括的民間委託でよく見られる3-5年間よりも長い10年間を原則とする。コンセッション方式への段階的な移行に向けたものであることから、10年以上には原則ならない。
画像引用元:国土交通省 下水道分野におけるウォーターPPP 管理・更新一体マネジメント方式(レベル3.5)の考え方 抜粋
② 性能発注
発注者が求める性能や品質の要件のみを伝え、具体的な仕様や方法については業者に任せる方法これにより業者の専門知識や創造性を活かした施工が可能になりより効率的で質の高い結果が得られる可能性があります。
効率的に維持管理できる製品がカンツールにはいっぱいあるからウォーターPPPでも活躍してくれるよ!
③維持管理の更新と一体化マネジメント(更新実施型 もしくは、支援実施型)
「更新実施型」維持管理と更新を一体的に受託者が実施、業務発注の効率化ができる。
「更新支援型」
更新計画案の策定やCM方式により地方公共団体の更新業務を支援し更新は地方公共団体が実施する。
※CM方式 CMR(コンストラクション・マネージャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って設計の検討業務の全部又は一部を行う方式のことで、管理者の任意で選択することもできる。
まず、『更新実施型』っていうのは改修工事の計画と、工事の実施までうち(民間)でやりますよ~ってこと。
『更新支援型』っていうのは改修工事の計画までうちでやるけど、工事の発注は自治体でお願いしますってことだよ。どちらのタイプにするかは任意で選択すればOK!
④ プロフィットシェア
契約時に見積もった工事費や維持管理費が、企業努力や新技術導入等で縮減した場合、縮減分を官民でシェアできる。ウォーターPPPとまとめ
ウォーターPPP(Public Private Partnership)は、自治体の水道や下水道の管理・運営を効率的に行うための仕組みであり 民間のノウハウや資金を活用して公共サービスの質を向上させることを目指しています。
特に、管理・更新一体マネジメント方式【レベル3.5】は包括委託を推進しやすい枠組みとして位置づけられており 政府と民間企業が10年間の長期契約、性能発注を使って、水道や下水道の管理、維持、更新(改善)を一緒に行います。
そして、計画よりも少ないお金で改善・維持ができたら、その節約分を政府と民間企業で分け合います(プロフィットシェア)
その流れから、コンセッション【レベル4】に移行することで、自治体の課題解決が進み、持続可能な水道・下水道事業の実現が期待されています。
これはかなりの数で、政府はこの目標達成のために国のお金も使うことを検討しているよ。
重点分野 |
5年で少なくとも 具体化すべき事業 |
10年で少なくとも 具体化すべき事業 |
空港 | 3 | 10 |
水道 |
5 |
100 |
下水道 |
5 |
100 |
道路 | 7 | 60 |
スポーツ施設 | 10 | 30 |
文化・社会教育施設 | 10 | 30 |
大学施設 | 5 | 30 |
公園 | 2 | 30 |
MICE施設 | 10 | 30 |
公営住宅 | 10 | 100 |
クルーズ船向け旅客ターミナル施設 | 3 | 10 |
公営水力発電 | 2 | 30 |
工業用水道 | 3 | 25 |
合計 | 77 | 575 |
限られた予算で、事故なく下水道管渠を点検して調査して、状況を把握することが一番なんだよ。
ウォーターPPPのQ&A
引用元:国土交通省 下水道分野におけるウォーターPPP(主に管理・更新一体マネジメント方式)に関するQ&A)
No | 質問 | 回答 |
1 | コンセッション無しでレベル3.5の10年のみ受託の想定はあるか? | 想定されません。 |
2 | レベル3.5の10年のあと、コンセッション方式に移行しない場合、ペナルティが発生するか? | ペナルティが発生することは想定していません。 |
3 | 既に長期の民間委託を実施している場合にどうすればよいか? | 既存の民間委託の変更契約などを行う。 |
4 | プロフィットシェアは必ず盛り込む必要があるか? | そのとおりです。 |
5 | 更新支援型を選択する場合、コンストラクションマネジメント(CM)まで含めるか否かは管理者の任意か? | そのとおりです。 |
みかんちゃんもしっかり勉強して、情報収集してね。
最後に
画像引用元:国土交通省 下水道分野におけるウォーターPPP 管理・更新一体マネジメント方式(レベル3.5)の考え方 抜粋
今まで、汚水管の改築に係る国庫補助は、条件を満たせば、地方自治体などに1/2の資金が補助されているんだ。
条件は、下水道ストックマネジメントで計画に基づくもの
この条件と、下水道ストックマネジメントで計画を立てて利用している国庫補助がどうからむか気になってるんだ。
続きはこちらになります。
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