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ウォーターPPPとは?上下水道事業に革新をもたらす官民連携(第36話)

2023年11月7日火曜日

公共下水道

この記事の概要:ウォーターPPPとは?上下水道事業に革新をもたらす官民連携(第36話)

管 とおる

みかんちゃん、前回は下水道展の話しをしたね。
→【第35話】みかんちゃん、下水道展'23札幌に行く←
今回は、下水道業界で注目を浴びている、
国が強く推奨する【ウォーターPPP】について説明するね。

諏訪 美管

ウォーターぴーぴーぴー・・・・
とおるさん、わたし慢性的な横文字アレルギーなんですけど、『ウォーター』は水だとして、『PPP』って何のことですか?意識高い系の人たちが使う言葉ですか?

ははは!そんなに難しくないから大丈夫!PPPっていうのは『Public Private Partnership』の頭文字をとったもので、直訳すると『官民連携』っていう意味だよ!

なるほど!じゃあウォーターPPPって直訳すると『水の管民連携』ってことなんですね!

その通り!「ウォーターPPP」とは、水道下水道工業用の水道など水の分野を対象とした新しい官民連携方式のことなんだ! 官民連携については以前説明した回があるからここで復習できるよ
→【第29話】官と民の共同作業 包括的民間委託で効率化←

官民連携は地方公共団体など【官】と民間事業者【民】が協力して公共施設を管理していくってことでしたよね♫

今回、なぜこの話しをしたかというと、
2023年の6月に国土交通省で「ウォーターPPP」の推進を強く打ち出したからなんだ。
公共施設を改善するための『PFI推進会議』で岸田総理からも水分野の取組みを強化するよう発言(※)があったり、「ウォーターPPP」は自治体の課題解決に有効とされていて、とにかくいま注目を集めているんだよ!

※引用元:国土交通省 PPP/PFIの推進に向けて P26


しっかり頭に入れておきます!!
・・・ので簡単に説明お願いします!!






ウォーターPPPとは?


「ウォーターPPP」はさっきも説明した通り、水分野の公共施設を対象とした新しい官民連携方式のことなんだ!

民間業者が長期的に公共施設を管理することができて、「管理・更新一体マネジメント方式 レベル3.5」
「コンセッション方式 レベル4」をあわせて「ウォーターPPP」って言うんだよ。

レベル3.5?コンセッション方式??
すみません、既に分かりません(・・;)
これまでも官民連携方式がいくつかあったと思うんですけど何が違うんですか?

まず、官民連携で公共施設を管理していく方法には受託期間や業務範囲の広さによってレベルがあるってことを覚えておいてね!
レベル3.5とかレベル4ってのは民間がどこまで介入できるかっていうレベルのことだよ! 下の図を見てみて!



レベル1~3が保守や点検などを行う『包括的民間委託』でレベル4は保守点検のほか利用料金収集を含めた運営権なども民間業者に任される『コンセッション方式』なんだ!つまり、レベルによって民間がその施設にどこまで介入できるかが変わるんだ!
今回新しく設定された3.5の『管理・更新一体マネジメント方式』とレベル4の『コンセッション方式』を合わせてウォーターPPPっていう方式にしたわけ!

レベル4のコンセッション方式って一番レベルが高いからやっぱりすごいんですか??


レベル4 コンセッション

特定の事業を行う権利や許可を政府や地方自治体などの公的機関から獲得すること。
またはその権利や許可を得て事業を運営することを指します。

コンセッションは、公共の建設・運営(例:道路、橋、空港など)、
公共サービスの提供(例:上下水道、電力など)、
または特定の商業活動(例:市場、フードコートなど)など、さまざまな分野があります。

契約した事業者は一定期間、事業を展開することができるようになります。
コンセッションは一般には数年から数十年の長期間にわたります。


なるほど~!じゃあレベル4のコンセッション方式にもなれば運営権もあって施設を乗っ取れるってわけですね (¬_,¬)ククク
ちがうちがう!あくまでも『官民連携』だから、協力してお互いにメリットを生み出すんだ!
それに業務範囲の広いレベル4のコンセッション方式でも所有権は自治体にあるからね!コンセッションは一定期間運営・管理権を民間に委託するっていう制度だよ!

ところでどうしてウォーターPPPにはレベル4の他にレベル3.5があるんですか?
なんか2種類あると混乱します(・・;)


レベル3.5 管理・更新一体マネジメント方式


レベル3.5の【管理・更新一体マネジメント方式】はレベル4の【コンセッション】に入ることを前提とした維持管理のことなんだ。
例えばみかんちゃん、  みかん市の施設、みかん博物館を運営する権利があったらどう思う?
それ、やってみたいです。


※2023年からのガイドライン変更箇所

コンセッションを前提とした記載が、コンセッションを選択肢として検討していただきたいに変更されました。

ガイドライン変更

第1.1版 第36回PPP/PFI検討会等資料(R6.6.28)

ウォーターPPPに関するQ&A 令和6年4月24日時点

  • Q: レベル3.5の後、コンセッション方式に移行することとされているが趣旨如何?
  • A: レベル3.5の後継としてコンセッション方式(レベル4)を選択肢として検討いただきたいという趣旨です。

  • Q: レベル3.5(原則10年)の後、コンセッション方式に移行しない場合、ペナルティが発生するか?
  • A: レベル3.5の後継としてコンセッション方式(レベル4)を選択肢として検討いただきたいという趣旨であり、ペナルティが発生することは想定していません。

コンセッションは義務ではなく、検討事項となります。

でも、みかん博物館の外壁が壊れていたり、雨漏りがあったり、実態がどんな状況か分からなかったらみかんちゃん不安じゃない?

うん、確かにそうですね・・・

そこで、みかん博物館の運営をまかせる前に、
レベル3.5の【管理・更新一体マネジメント方式 】の期間で、しっかり状況把握と修復などの投資をしてから、
レベル4で運営にあたってね。ってことの意味がウォーターPPPにはあるんだよ。

わーそれなら安心です。

レベル3.5の【管理・更新一体マネジメント方式】はコンセッションに準ずる効果が見込めるしコンセッションよりハードルを1段下げたものになるから取組みやすいんだ。


画像引用元:国土交通省 PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)の概要  抜粋





ウォーターPPPの条件とは?


ところで、レベル3.5になってウォーターPPPの仕事をしたいんですけどどうしたらいいんですか?

【管理・更新一体マネジメント方式 レベル3.5】には4つの要件があるんだ。
①長期契約②性能発注③維持管理の更新と一体化マネジメント④プロフィットシェアの4つの要件を満たせば入札に参加することができるよ!

① 長期契約(原則10年)

企業の参画意欲、地方公共団体の取組易さ、スケールメリット、投資効果の発現、雇用の安定、人材育成等を総合的に勘案し、 従来の包括的民間委託でよく見られる3-5年間よりも長い10年間を原則とする。
コンセッション方式への段階的な移行に向けたものであることから、10年以上には原則ならない。

10年てけっこう長いんですね~

みかん博物館の例で言うと、最初の2~3年で博物館を保守管理しながら状況を調査して、壁の破損とか雨漏りとかがあれば工事したりするよね?例えば5年目くらいに改修工事したことで消費電力量が減ったとか人員の配置が減ったとか効果が表れる全体の事業期間として原則10年となっているんだよ!

画像引用元:国土交通省 下水道分野におけるウォーターPPP 管理・更新一体マネジメント方式(レベル3.5)の考え方 抜粋


そっか!調査とか工事の計画とか、工事の結果まで見るから10年もあるんですね~


② 性能発注

発注者が求める性能や品質の要件のみを伝え、具体的な仕様や方法については業者に任せる方法
これにより業者の専門知識や創造性を活かした施工が可能になりより効率的で質の高い結果が得られる可能性があります。


性能発注の一番のメリットは、『仕事を受託した民間の業者がノウハウや技術を活かして維持管理の方法を提案できること』でしたね!

そう!ここでカンツールの機能的な機械たちや新技術が活躍するところだね!
効率的に維持管理できる製品がカンツールにはいっぱいあるからウォーターPPPでも活躍してくれるよ!

③維持管理の更新と一体化マネジメント(更新実施型 もしくは、支援実施型)

「更新実施型」
維持管理と更新を一体的に受託者が実施、業務発注の効率化ができる。

「更新支援型」
更新計画案の策定やCM方式により地方公共団体の更新業務を支援し更新は地方公共団体が実施する。

CM方式 CMR(コンストラクション・マネージャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って設計の検討業務の全部又は一部を行う方式のことで、管理者の任意で選択することもできる。



とおるさん、この③難しいです!なんとか型ってなんですか?

これはウォーターPPPで一番大事なところだよ!
まず、『更新実施型』っていうのは改修工事の計画と、工事の実施までうち(民間)でやりますよ~ってこと。
『更新支援型』っていうのは改修工事の計画までうちでやるけど、工事の発注は自治体でお願いしますってことだよ。どちらのタイプにするかは任意で選択すればOK!
そういうことなんですね~!


④ プロフィットシェア

契約時に見積もった工事費や維持管理費が、企業努力や新技術導入等で縮減した場合、縮減分を官民でシェアできる。

これはわかりやすいね!受託した会社が新技術を導入したり効率的に事業を進めるなどして最初に見積もった費用からお金が浮いた場合、残った利益を官と民でシェアできますよってことだよ!




ウォーターPPPとまとめ

もう一度、おさらい「ウォーターPPP」とは?


ウォーターPPP(Public Private Partnership)は、自治体の水道や下水道の管理・運営を効率的に行うための仕組みであり 民間のノウハウや資金を活用して公共サービスの質を向上させることを目指しています。

特に、管理・更新一体マネジメント方式【レベル3.5】は包括委託を推進しやすい枠組みとして位置づけられており 政府と民間企業が10年間の長期契約、性能発注を使って、水道や下水道の管理維持、更新(改善)を一緒に行います。

そして、計画よりも少ないお金で改善・維持ができたら、その節約分を政府と民間企業で分け合います(プロフィットシェア

その流れから、コンセッション【レベル4】に移行することで、自治体の課題解決が進み、持続可能な水道・下水道事業の実現が期待されています。


今後10年間で水道100件下水道100件工業用水道25件、合計225件のプロジェクトを進めることを目標にしているんだ。

これはかなりの数で、政府はこの目標達成のために国のお金も使うことを検討しているよ。
重点分野 5年で少なくとも
具体化すべき事業
10年で少なくとも
具体化すべき事業
空港 3 10

水道

5

100

下水道

5

100

道路 7 60
スポーツ施設 10 30
文化・社会教育施設 10 30
大学施設 5 30
公園 2 30
MICE施設 10 30
公営住宅 10 100
クルーズ船向け旅客ターミナル施設 3 10
公営水力発電 2 30
工業用水道 3 25
合計 77 575
こうして見ると水道下水道の数が多いですね?

それだけ、上下水道に政府が力をいれてるってことだね。

でもそれだけ、上下水道の維持管理がひっ迫していることにもなるんですよね(T_T)

ウォーターPPPに、関してカンツールができることは性能発注が基本だから、より良い機器を準備して、効率的な使い方をお客さまに提供する。

限られた予算で、事故なく下水道管渠を点検して調査して、状況を把握することが一番なんだよ。

確かに、そうですね。新しい技術や機械、ノウハウを提供することが、カンツールの使命なんですね。



ウォーターPPPのQ&A


最後に、ウォーターPPPについてのQ&Aを抜粋した内容を紹介するね。

引用元:国土交通省 下水道分野におけるウォーターPPP(主に管理・更新一体マネジメント方式)に関するQ&A)

No 質問 回答
1 コンセッション無しでレベル3.5の10年のみ受託の想定はあるか? 想定されません。
2 レベル3.5の10年のあと、コンセッション方式に移行しない場合、ペナルティが発生するか? ペナルティが発生することは想定していません。
3 既に長期の民間委託を実施している場合にどうすればよいか? 既存の民間委託の変更契約などを行う。
4 プロフィットシェアは必ず盛り込む必要があるか? そのとおりです。
5 更新支援型を選択する場合、コンストラクションマネジメント(CM)まで含めるか否かは管理者の任意か? そのとおりです。
ウォーターPPPに関しては、僕も勉強しながら、動きをみているところ。
みかんちゃんもしっかり勉強して、情報収集してね。
はい、わかりました



最後に


気になってることが2つあるんだ・・・

え?なんですか?

画像引用元:国土交通省 下水道分野におけるウォーターPPP 管理・更新一体マネジメント方式(レベル3.5)の考え方 抜粋



ひとつは、上の資料に 汚水管の改築に係る国費支援に関して、緊急輸送道路等の下に埋設されている汚水管の耐震化を除き、 ウォーターPPP導入を決定済みであることを令和9年度以降に要件化 って記載されいる。
今まで、汚水管の改築に係る国庫補助は、条件を満たせば、地方自治体などに1/2の資金が補助されているんだ。

条件は、下水道ストックマネジメントで計画に基づくもの

画像引用元:国土交通省 下水道事業の国庫補助制度等  抜粋



ウォーターPPP導入を決定済みであることを令和9年度以降に要件化
この条件と、下水道ストックマネジメントで計画を立てて利用している国庫補助がどうからむか気になってるんだ。

要件化と記載しているから、ウォーターPPPが条件なんですかね?

もう一つは、いずれ来るであろうウォーターPPP業務に備えて、必要となる技術者や施工体制をあらかじめ整えておいたり、資格習得(管路協総合技士・主任技士・技術士、一級土木施工管理技士等)や業務提携できる企業を検討していつでも対応できる体制づくりを始める必要があると思っているんだ!

ウォータPPPを推進することで、下水道維持管理のやりかたで、いろいろ考える事ができそうですね。

これからも最新の情報をキャッチしていち早く教えるね!

KANMAGAを見てくれている皆様のためにも、よろしくお願いしま~す!!

続きはこちらになります。



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