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下水道の点検と調査:カンツールが紹介する管内検査システムの進化術(第5話)

2021年3月25日木曜日

公共下水道/カメラ調査

下水道を安全に使い続けるためには、点検調査を正しく使い分けることが欠かせません。
しかし現場では、「点検と調査の違いが分かりにくい」「どのタイミングで管内調査を行うべきか迷う」といった声も多く聞かれます。

本記事では、下水道の維持管理に携わる方に向けて、
点検と調査の基本的な違いから、直視側視式カメラによる管内調査の役割
さらに下水道維持管理の現状と今後求められる考え方までを、図や会話を交えて分かりやすく解説します。

あわせて、カンツールが提供する管内検査システムの進化にも触れながら、
なぜ今「効率的な点検・調査」が重要なのかを、実務の流れに沿って紹介していきます。


みかんちゃん、前回の処理場の話しはちょっと長くて難しかったかな 前回の話【下水処理場のしくみ】

諏訪 美管

分からない言葉や知らないことがたくさんでてきて知恵熱でちゃいました(~o~;)
でも、微生物が下水を綺麗にしたり、赤潮の原因とか今まで知らなかったことがたくさん分かりました!
おぉ~それはよかった。
あと、前回まで(第0話―第4話)で水の循環についても理解できたかな?
はい!私たちが使った水がああいう風に綺麗になって戻ってきているなんて以前は知りませんでした。
私たちが快適に暮らせているのもほんとに下水道のおかげなんだなぁって分かりました。
でも下水道って重要なインフラなのに認知されてないことが多くてね。
電気が止まれば【停電】 水道が止まれば【断水】
でも下水が機能しなくなる言葉って無いんだよ。
言われてみれば下水がストップする言葉って聞いたことないです。 止まっちゃったら停電や断水と同じくらい大変なのに~!
だから僕は下水が機能しないっていう言葉があればと思うんだ。
これ、先代の社長が言ってた言葉の受け売りなんだけどね。
下水道トンネル内で水があふれるイラスト。停電と断水のアイコンが表示され、男女が『下水が止まる言葉がない?』と会話している。テーマは下水道本管の点検・調査。
下水道が止まったらどうなるのか。停電や断水と比べて認識されにくい下水道停止の問題を示し、下水道本管の点検・調査の重要性を伝える図。


わー!!!その言葉ができれば重要なインフラってこともみんなに認識していただけそう!
まぁ、その言葉使う機会がないくらい災害や非常事態がないことがいいんだけどね(^^)
では今日の勉強は下水道の本管の点検や調査についてだよ。 ほんとに基本的なことから説明するね。



下水道管路の調査で使われる直視側視式カメラとは


下水道管路を安全に使い続けるためには、管の中の状態をくわしく確認する「調査」が欠かせません。
公共下水道では、人が入れない管内を確認するために、下水道管カメラ調査システムが使われています。

公共下水道における点検と調査の違い

下水道の維持管理では、「点検」と「調査」は役割が違います。
点検は、管に異常があるかどうかを確認する作業です。
調査は、異常の内容や大きさを映像で確認し、記録して評価する作業です。
直視側視式カメラは、この調査を行うための機器です。

押込みカメラと管内検査ロボットの違い

個人の家の排水管では押込みカメラを使うことが多いけど、
公共下水道の調査では管内検査ロボットを使うんだ。
押込みカメラとは何が違うんですか?
押込みカメラは人が手でケーブルを押して進めるけど、
管内検査ロボットは地上から操作して、自分で走って調査するんだ。


直視側視式カメラでできること

管内検査ロボットには直視側視式カメラが搭載されています。
前を映すカメラと、管のまわりを映すカメラの両方があり、
下水道管の中をくまなく確認できます。

下水道管カメラ調査で分かること

直視側視式カメラを使うと、管の太さがΦ200mm程度でも、
ひび割れや傷をはっきり確認できます。
これらの映像は、下水道を直すかどうか判断するための大切な資料になります。



諏訪 美管
管の異常についてもっと知りたい方はこちら
下水道の異状発見:緊急度を判断するためのガイド(第7話)
下水管の中で起こる異常の種類や、確認のポイントを分かりやすく紹介しています。

諏訪 美管

録画セミナーもあります:
録画セミナー:第6回「下水道施設の基礎知識と異状内容について、 報告書作成に必要な用語とは」

下水道施設の基礎知識と異状内容、そして報告書作成に役立つ用語について解説した第6回オンラインセミナーの録画視聴案内です。初心者から実務者まで役立つ内容です。:contentReference[oaicite:0]{index=0}


下水道調査システムのこれまでと今

下水道管のカメラ調査は、約50年前の白黒カメラから始まりました。
今では、自走式ロボットと高性能カメラにより、
長い距離でも安全で正確な調査ができるようになっています。

下水道における点検と調査の違いとは


みかんちゃん、下水道の「点検」と「調査」のちがいって分かる?
うーん……どちらも悪いところを調べるイメージです。ちがいはあるんですか?
実は国土交通省のガイドラインでは、はっきり区別されているんだ。
かんたんに言うと、
点検は異常があるかどうかを確認すること。
調査は異常の内容やひどさを数値やランクでくわしく確認することだよ。

下水道における点検と調査の違いを示した図。点検はマンホールから異常の有無を確認し、調査は管内カメラロボットで詳細や原因を数値やランクで把握する流れを表している。
下水道における点検と調査の違いのイメージ図。点検は異常の有無を確認する工程、調査は異常が見つかった場合に内容や原因を詳しく把握する工程を示している。
(9)点検
施設の状態を確認し、異常があるかどうかを見ること。
下水道管では、マンホールから目で見たり、簡易カメラを入れて確認します。

(10)調査
施設の状態をくわしく把握するため、劣化の程度を調べること。
下水道管では、管内カメラを使って、ひび割れなどを詳しく確認し、原因を考えます。

なるほど。
点検は「あるかどうか」、調査は「どのくらい悪いか」を見るんですね。
そうそう。健康診断に例えると分かりやすいよ。
まず検便で異常があるかを確認するよね。これが点検。
もし異常があったら、内視鏡でくわしく調べる。これが調査だよ。
下水道も同じで、調査の結果をもとに、直すかどうかを決めるんだ。
たしかに分かりやすいです。
下水管って体の中の血管みたいですね。
その通り。血管が詰まると大変だから、
下水道も早めに点検・調査して守ることが大切なんだよ。
じゃあ、点検と調査はどう使い分けているんですか?
まず点検で広くチェックして、
気になるところだけを調査でくわしく見るんだ。
下水道はとても長いから、効率よく管理することが大切なんだよ。
下水道における点検と調査の使い分けを示した図。点検は広く異常の有無を確認し、調査は気になる箇所を管内カメラで詳しく確認して原因や劣化状況を把握する流れを表している。
下水道の点検と調査の使い分けのイメージ図。点検で広くチェックし、異常が見つかった箇所のみを調査で詳しく確認することで、効率的な維持管理につながる。


下水道維持管理の現状とこれからの課題

今、下水道管の中をくわしく調べる方法として、いちばん多く使われているのが直視側視式カメラによる調査だよ。
ただし、この方法だと1日に調査できるのは約280mほど。
たとえば3km調査するには、10日くらいかかるんだ。

どうしても時間費用も多くかかってしまうのが現状なんだ。
なるほど……思ったより大変なんですね。
そうなんだ。日本全国の下水道管は、全体で約50万kmもある。
だから今、早く管の状態をつかむために、大きく2つの考え方が求められているんだ。

① まずは多くの管を点検して、気になるところだけを調査する。
② 直視側視式カメラよりも、短時間で多くの管を確認できる方法を考える。

この流れを、できるだけ効率よく進めることが、国土交通省のガイドラインでも求められているんだ。
維持管理情報等を起点としたマネジメントサイクル確立に向けたガイドライン(管路施設編・2020年版)より
矢印がたくさんあって、ちょっと難しそうですね……。
大丈夫。大事なポイントだけを分かりやすくまとめた動画があるから、まずはそれを見てみよう。


動画を見て、下水道の維持管理がよく分かりました!
カンツールには点検や調査の機器がたくさんあるんですね。
そうだよ。動画に登場した機器についてはまた追々紹介するとして、今日は最初に登場した 国内でのトップクラスの技術を導入された管内検査システムロビオンについて説明するね。

ロビオン

ロビオンは、世界の技術を駆使した高機能な管内検査カメラです。
走行性・操作性・安全性に優れ、現場のトラブルを解決し、日進量の向上をもたらします。


うわぁぁ~ロビオンてすごい技術ですね。
でしょ!ロビオンはワゴンタイプの車両に設置して使用するのが利便性がよくて一般的なんだけど、カメラ調査車は発電機型よりバッテリーシステム型が人気なんだ。 充電方法も走行充電、100V、太陽光の3つもあって、音も静かだし、環境にやさしいから!

管内検査カメラシステム
管内検査カメラシステムは、管内検査カメラを車両に架装し、テレビカメラ調査車として現場でのスムーズな作業を行うことができるシステムです。
より効率のよい作業を実現するバッテリーシステムが登場しました!


わ~!これにロビオンを積み込んだら、もう最強ですね!!
その通り!
このロビオン搭載の調査車があれば日本中の下水管の維持管理は俺にまかせろ!!って感じなんだよ!
おおおぉぉ~!ロビオン、かっこいい~!!
なんか今日はすごい装置をたくさん見て刺激を受けました!
こうやって下水道の維持管理にカンツールの検査機器が役立っているんですねぇ。

諏訪 美管

積算(費用に興味あれば):
下水道維持管理業界における、一般的な積算の方法について(41話‑前編)

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諏訪 美管

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↓この記事で登場した製品↓
ロビオン
管内検査カメラシステム


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