この記事の概要:下水道維持管理業界における、一般的な積算の方法について(41話-前編)
管 とおる
前回は、たくさんある下水道管渠の中でどこから点検や調査を始めるかの順番を決める方法について話したね。リスク評価を使って優先度をつける方法についても説明したね。
→下水道維持管理:リスク評価と優先度とは?(第40話) ←
→下水道維持管理:リスク評価と優先度とは?(第40話) ←
諏訪 美管
はい、下水道管渠の何処から点検や調査、直していくかの優先度をつける方法について理解しました。
それじゃあ、場所の選定がわかったところで、点検や調査をしたら、その費用はどのくらいになるか算出する積算について説明するね。
下水道のTVカメラ調査っていくらくらいかかるのかな?
って気になってました。
わたし計算系のもの大の苦手なので分かりやすくお願いします!
って気になってました。
わたし計算系のもの大の苦手なので分かりやすくお願いします!
積算ってなに?
とおるさん、そもそも、積算ってなんですか?
公共工事において使われる標準的な工事費用の求め方なんだ。
公共工事は税金を使うよね。 発注者はいろんな自治体があるので、決められたルールに基づいて工事を算出する必要があるってこと
例えば、TVカメラ調査をするにも、調査する機械や調査をする人、光熱費などの経費が必要でしょ?
そこで、TVカメラ調査全体にいくらかかるか費用を算出するけど、A市、B市、C市で、価格が違ったら公平性に問題がでちゃう。
公共工事は税金を使うよね。 発注者はいろんな自治体があるので、決められたルールに基づいて工事を算出する必要があるってこと
例えば、TVカメラ調査をするにも、調査する機械や調査をする人、光熱費などの経費が必要でしょ?
そこで、TVカメラ調査全体にいくらかかるか費用を算出するけど、A市、B市、C市で、価格が違ったら公平性に問題がでちゃう。
工事とか調査にどれくらいかかるかの見積りを出すみたいな感じでしょうか?
見積と積算は全くの別物で、積算は【TVカメラ調査全体にいくらかかるか費用を算出すること】で、見積りは【積算した金額に利益を上乗せした金額のこと】なんだ!
つまり、積算は工事全体の費用で、見積りは積算の金額に利益額が加えられたものだよ。
積算と見積りは以下の関係となるよ。
見積り金額=積算金額+利益額
つまり、積算は工事全体の費用で、見積りは積算の金額に利益額が加えられたものだよ。
積算と見積りは以下の関係となるよ。
見積り金額=積算金額+利益額
はい、積算は公平性を確保する標準的な工事費用ってことですね。
それと、積算は原価で、見積もりは利益も入った金額って事をしっかり覚えます!
それと、積算は原価で、見積もりは利益も入った金額って事をしっかり覚えます!
そうそう、例えば「みかんのマーマレードを100個作ってください」っていう仕事があったとして、株式会社みかんではいくらで引き受けてくれるかな?
えーと・・・みかんが1つ100円として×100個で材料費が1万円でしょ。
1人1日に10個作れるとして人件費は10万円。
あとはパッケージとか光熱費を含めるとマーマレードを作るのに全部まとめて20万円くらいかな?
そこに株式会社みかんの利益分10万円上乗せしてトータル30万円でどうでしょう!!
1人1日に10個作れるとして人件費は10万円。
あとはパッケージとか光熱費を含めるとマーマレードを作るのに全部まとめて20万円くらいかな?
そこに株式会社みかんの利益分10万円上乗せしてトータル30万円でどうでしょう!!
そうそう、そんな感じ!その例で言うと20万円が積算で利益を上乗せした30万円が見積りってことね!
なるほど!じゃあ100個の計算さえできていれば500個の注文でも1000個の注文でも簡単に積算と見積が出せますね~!!
いや、またここが積算の大事なところで、例えば前回は材料のみかんが100個で済んだけど、今回は実が小さくて150個必要になったり、夜間に作らなきゃいけなかったり、または、遠いところで作らなきゃいけなかったりその状況によって積算ってのは変わるから、毎回算出する必要があるんだ!
だいたいいくらとかじゃダメなんですね~!!わたし、積算業務ってできる気がしません・・・。
積算ってなんで必要なんですか?
積算ってなんで必要なんですか?
最初に伝えたように、公共工事の財源っていうのは税金だからきちんとミエル化する必要があるんだ。
例えば、TVカメラ調査でも、案件によって検査する距離が違ったりする。
入札において、一番金額が低い業者が落札するけれど、 発注者側もその工事全体でどれくらいの費用がかかるのかを知る必要があるんだ。
例えば、TVカメラ調査でも、案件によって検査する距離が違ったりする。
入札において、一番金額が低い業者が落札するけれど、 発注者側もその工事全体でどれくらいの費用がかかるのかを知る必要があるんだ。
入札についてはこちらを参照
なるほど~
それに原価が一定ではないからこそ、仕事を受ける業者側も赤字にならないよう工事に合わせて毎回きちんと積算を行う必要があるんだ!
それじゃあ積算について詳しく見ていこう!
それじゃあ積算について詳しく見ていこう!
積算における作業費(工事費)の全体構成
まず、工事における費用の全体構成は次のようになるよ!
工事費用
うわぁ、工事費って言ってもこんなに細かく分けられているんですね!どこから手を付けたらいいのやらって感じですけど、この黄色で強調されている直接作業費ってなんですか?
直接作業費(直接工事費)っていうのは工事に直接関わる費用のことで、材料費、労務費、機械損料などが含まれているよ!
さっきのマーマレード製造プロジェクトの例で言うとこれらの費用が直接工事費になるわけですね!
その通り!じゃあ、マーマレード製造プロジェクトでの間接工事費ってなんだと思う?
う~ん?なんだろう??間接的にかかるお金だから、農家さんのところにみかんを取りに行くガソリン代とか~?
え!?奇跡!正解だよみかんちゃん!
えぇ~!?まさかの正解!?
間接工事費っていうのはその名の通りその工事で間接的に発生する費用で、材料の運搬費とか、工事に携わる従業員の交通費、宣伝広告費や求人広告なんかも間接工事費になるんだよ!
それじゃあ、直接工事費と間接工事費のまとめだよ。
直接工事費
直接工事費とは、工事に直接関わる費用のことを指します。これには、材料費、労働費、および使用機器の費用(機械損料)が含まれます。
例えば、下水管の調査や補修において、必要な配管などの材料費や作業員の人件費、TVカメラ車、クレーン、ポンプなどを使用するための費用が直接工事費として計算されます。
間接工事費
間接工事費は工事全体に共通して影響を及ぼす費用です。
これには、材料の運搬費や企業の経営維持に必要となる一般管理費、従業員の給与や保険、現場職人の交通費などの現場管理費、安全対策費、事務所運営費などが含まれます。
なるほど~!直接工事費と間接工事費については分かりました。ところで、この赤い点線で囲んである純作業費ってなんなんですか??
まず、さっき間接工事費で説明した材料の運搬費とか、従業員の交通費、保険料、求人広告といった間接工事費はこの上の図にあるようにさらに細分化して共通仮設費と現場管理費という分類に分けられるんだ!
それでどうして間接工事費のうち共通仮設費っていう方だけ純作業費なんですか??
共通仮設費っていうのは工事の準備・後片付けとか材料の運搬、仮設事務所、ガードマンなどなど、工事全体をサポートするために必要な費用のことなんだ。一方現場管理費っていうのは現場作業員の給料や保険、交通費など、現場を管理するためにかかる費用のことで、より工事に直接性の高い共通仮設費が直接工事費と併せて純作業費ってことになるんだ!
そうか~!例えばわたしがお弁当忘れても工事は進むけど、ガードマンさんが来なかったり材料を運ぶトラックが到着しなかったら現場は止まってしまいますもんね。だから共通仮設費っていうのは間接工事費なのに純工事費として含まれるんですね!
そうそう!そんな感じだよ!直接工事費を直工費て言って積算に大きく関わってくる部分だからよく覚えておいてね!
はい、わかりました。
あと、もう一つ間接工事費には、積上げ分と率計上分があるんだ。
間接工事費には「率計上分」と「積上げ分」という二つの計算方法があります。
-
積上げ分:
実際にかかった費用を一つ一つ合計します。
例えば、現場の管理費や安全対策費用などです。 -
率計上分:
直接工事費に対して一定の割合をかけて計算します。
例えば、直接工事費の10%を間接工事費として計算する方法です。
例として、「共通仮設費率」というのがあります。これは、工事に必要な仮設設備の費用を計算するための割合です。
この割合は、工事の規模や地域によって異なりますが、通常は工事費の5%から10%が使われます。
工事費が少ないと割合は高くなり、工事費が多いと割合は低くなります。
難しくて目が回りそうですが、率計上分っていう方が、ひとつひとつ計算する積上げ分より簡単に計算できるってことですね!
労務費(作業単価)について
次は、労務費について説明するね。
労務費は工事に直接関わる人のお給料のことで、人数(作業量×歩掛)×労務単価で計算するんだ!歩掛っていうのはその作業にどれだけの材料や時間が必要か数値化したもののことね!
労務費は工事に直接関わる人のお給料のことで、人数(作業量×歩掛)×労務単価で計算するんだ!歩掛っていうのはその作業にどれだけの材料や時間が必要か数値化したもののことね!
その作業にどれだけの材料や時間が必要か数値化したものが歩掛か~!それで、人数(作業量×歩掛)×労務単価で労務費が出るってことですね!
、、、、なるほど、わからん。
、、、、なるほど、わからん。
簡単に言うと、1個のマーマレードを作るために、みかん1個、製作時間が2時間必要なら、これが「歩掛」。
労務単価っていうのはパティシエの1時間当たりの賃金のことで、仮に時給1,000円だとすると、1人でマーマレード10個作る労務費は下の図のように20,000円になるってこと。
労務単価っていうのはパティシエの1時間当たりの賃金のことで、仮に時給1,000円だとすると、1人でマーマレード10個作る労務費は下の図のように20,000円になるってこと。
そういうことかぁ~!じゃあ10人で100個作る場合だったら労務費は20万円ってことですね!
まぁ、単純計算だとそうなるね。でもみかんちゃん、10人のうち、ただ作るだけのパティシエと栄養士のパティシエがいたとして
どちらも時給1,000円でいいかな?
それは良くないですね。そしたら普通のパティシエさんは時給1000円、栄養士さんは1,500円にしようかな。
下水道維持管理業界でも同じで、技術者によって労務単価が違うんだ。
下記の管路管理の職種は、国土交通省の職種名称に割り当てられてるよ。
下記の管路管理の職種は、国土交通省の職種名称に割り当てられてるよ。
管路管理の職種 | 適用職種 | R6単価(例) |
---|---|---|
管理主任技師 | 技師(A) | 57,000 |
管理技師 | 測量主任技師 | 54,600 |
調査技師 | 測量技師 | 47,100 |
調査技師補 | 測量技師補 | 36,900 |
調査助手 | 測量助手 | 34,600 |
調査補助員 | 測量補助員 | 25,900 |
清掃技師 | 土木一般世話役 | 30,000 |
清掃作業員 | 特殊作業員 | 27,600 |
下水道維持管理に関する積算の方法
では、下水道の維持管理の積算について、簡単に説明するね。
一般的な考え方の例だから、これが全てじゃないことを理解して。 それでは、本管TVカメラ調査を例にして、積算してみよう。
一般的な考え方の例だから、これが全てじゃないことを理解して。 それでは、本管TVカメラ調査を例にして、積算してみよう。
待ってください。あたまが爆発中です🔥
それでは、続きは次回にしようね。
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下水道維持管理業界における一般的な積算の方法 - 後編
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