下水道システムの仕組み:水道から公共ますへ処理場までの水の旅(第3話)

2021年3月2日火曜日

下水道の基礎知識



みかんちゃん。前回は雨水対策に夢中になって話が進まなかったね。
→前回の話【汚水と雨水、そして雨水対策】←
話が長い男は嫌われるから気をつけないと
(・_・;)

諏訪 美管

大丈夫ですよ。とても面白かったですよ!
それじゃあ、前々回はお風呂の水が家庭の排水管から【公共ます】までたどりついたところまで説明したから、
今日こそは、その後お風呂の水がどこに行くのか説明するね!
はい!よろしくお願いします!











公共ますから本管へ


まず、公共ますから下水管に繋がる管を【取付管】と言って、下水管を【本管】と言うんだ。
お風呂の水は家庭の排水管を通って、外の公共ますまでたどりついた後、取付管から本管に流れていくよ。


わぁー!こんな風になってるんだぁ!!
本管の途中に何か所かある縦長のところはもしかしてマンホールですか?
その通り!!
マンホールを人孔(じんこう)と言って、本管の清掃や調査を行うために作られるている施設なんだよ。
下の写真でマンホールの底に横切っている部分が見えると思うんだけど、これが下水管、つまり本管なんだ。


わぁ~!マンホールの中って初めて見ました(^^)
場所によっては深さ30mくらいあったり、地下3階建ての要塞みたいな施設が地下にできてるところもあるんだよ。


わぁぁぁ~!すごーい!!👀
そして本管は小さくてΦ150mm、 大きいとΦ3000mmくらいのものもあるんだよ。
φ3000mm!直径3メートルの下水管なんてあるんですかー!?
大きい下水管てトンネルみたいですね!
本管の多くはΦ200~300くらいだけどね(^^)
こうして僕たちの使った水たちは本管を通って処理場に行くんだ。


Φ200

Φ1350





下水が本管から処理場に運ばれるまで


さて、ここで問題。
下水が流れるのは、管に勾配をつけて下り坂みたいに設計されているからなんだけど、処理場までずっとずっと下り坂になっていると思う?
んんん~?
そうなると処理場に着く頃にはとんでもなく地下深くなっちゃいますよねぇ?それはなさそうだなぁ・・
かといって、登り坂だと水は流れないし・・・
一体どうなっているんですか??
本管が深くなりすぎた場合、マンホールポンプや、中継ポンプ場を作るんだ。


ポンプ施設とは?


下水管は高低差(勾配)がついており、下水は自然に流れていきます。
下水の流れが遅すぎると堆積物が流れず、速すぎると排水施設を侵食し壊してしまうため流速の範囲が定められています。
 汚水管  流速は最小0.6m/秒、最大3.0m/秒
 雨水管・合流管  流速は最小0.8m/秒、最大3.0m/秒
しかし、勾配だけでは下水管をどんどん深く掘り続けなくてはならなくなってしまいます。

そこで、途中に【マンホールポンプ】や、【中継ポンプ場】を設け、圧力で上に送り出すことによって下水管の位置を引き上げ、適切な管理ができるようにしています。


マンホールポンプはマンホールの中にポンプ設備を組み込んで埋設設置します。
自然流下下水の途中にマンホールポンプを採用することで掘削深が浅くなり経済的な下水道システムを構築することができます。
また、多量の下水が集まりマンホールポンプでは処理できないところに設置されるのが【中継ポンプ場】です。
へぇ~!こうやって処理場まで運ばれていくんだぁ。
じゃあもしポンプ場が止まったら大変ですね。
そうなんだ。停電とか機械が故障してもポンプが止まらないように、自家発電や予備ポンプが作動するような仕組みを作ってるんだ。
リスク管理ってことですね。
みかんちゃん、難しい言葉を知ってるね。(意外…笑)
そうだよ。下水道は止めることが出来ないからリスク管理が重要なんだ。
海外では汚水の回収と移送に固形分離をするシステムwilo社製のポンプなどもあるんだよ。


おおぉ~リンク先の動画見ましたけど、このポンプすごいですね!👀
あと、下水を送る方法としては自然流下の他に圧送方式で送ることがあるんだ。




自然流下式と圧送方式

一般的に、下水道管きょは勾配のある自然流下式が基本となっています。

しかし、上水道、工業用水道、農業用水道などは圧送方式の方が多く、
下水道業界でも自然流下式で整備困難な場合、部分的に圧送管路を埋設することがあります。
圧送方式は水中ポンプを設置し汚水をポンプで圧送するため、
勾配設計や地形などにとらわれず布設自由度が高いのが特徴です。

自然流下式

  • 一定の下り勾配が必要

  • 勾配をつけるため深く埋設する必要がある
  • 管渠敷設において工事期間が長く費用がかかる
  • 圧送管に比べ管が大型

  • マンホールや接続箇所から不明水が浸入する恐れがある
  • 流入、合流が自由にできる。

  • 管路の屈曲部、合流部などにマンホールが必要

圧送方式

  • ポンプによる圧送のためあらゆる地形に適応
  • 高低差に影響されず地形に合わせて浅く埋設できる
  • 管渠敷設において工事期間と費用を大幅に節約できる
  • 満管で圧送するので小口径管で対応できる
  • 圧送に耐える管材を用いるので、不明水が浸入することがない
  • 流入、合流には圧力上の検討が必要となる
  • ポンプ設備が必要



圧送管は長くて勾配を気にしないで作れるけど、実は維持管理に大きな問題があるんだ。それは圧送管の場合、設計上マンホールが無いから圧送管の中を確認できないんだ。
マンホールがないってことは
圧送管の中を点検する時ってどうするんですか??
圧送管でも点検は絶対に必要!
圧送管の維持管理は、圧送管の途中にある空気弁からスクリーニング方式(本調査の前の簡易調査)で行うんだ。空気弁は圧送管の途中にある空気を抜くところ。
圧送管を調査する機器は、カンツールではじゃじゃん!
アジリオス!!!これで 圧送管の点検と調査ができるんだよ。

アジリオス   




鮮明な映像とさまざまな機能を搭載した押込み式管内調査カメラ。 
自動水平機能や首振り機能を備えたカメラヘッド!
レーザースケール付きで管の異常箇所も楽々計測!

↓↓↓興味があるかたはリンクをクリック↓↓↓
②アジリオスを利用した圧送管の点検調査方法について


これは、2019年の下水道展研究発表会で発表して、大きな注目を浴びたんだ。
全国各地で圧送管の点検・調査に使われている直側式押込みカメラなんだよ(^o^)v。
論文はこちらをクリック
なんかスケールが大きくてびっくり。
お風呂の水はいろんな方式の下水管を流れて下水処理場に到着するんだよ。
これらの施設は止めることができない重要なライフラインにも関わらず地中に埋まってるから管理が大変なんだ。見るのも、治すのも大変(^_^;)
だからこそ、カンツールの下水道維持管理製品が役に立つんだよ。
知らないことがたくさん出てきました。
お風呂の水は大冒険をして流れていくんですね。
次回は、処理場についたお風呂の水をどうやって綺麗にしてるか、小学生でもわかるように説明するね。
ひろしさん、小学生でもって私のことバカにしてません?(`ヘ´*)プンプン
そ、そんなことないよ。処理場の話って難しいんだ。
活性汚泥、OD方式、BOD、嫌気、無酸素、脱窒、富栄養化・・・・・
あ・・・(汗)
やっぱり小学生でもわかるようにお願いします(笑)



↓この記事で登場した製品↓
アジリオス
アジリオスを利用した圧送管の点検調査方法について
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