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下水はどこへ流れる? 公共ます→本管→下水処理場の流れと自然流下・圧送の違い【第3話】

2021年3月2日火曜日

下水道の基礎知識/下水管について

下水道の仕組み:水道→下水処理場への流れ、自然流下と圧送の違いも【第3話】
「公共ますの先って、どうなっているんだろう?」
家庭から出たお風呂や台所の水は、取付管から下水道の本管へ入り、止まることなく下水処理場を目指して流れていきます。

下水道の基本は、管路に勾配をつけて重力で流す自然流下
ただし、地形や埋設深の制約で勾配が確保できない区間では、マンホールポンプや中継ポンプ場で汚水を押し送る圧送方式が使われます。

本記事では、公共ますから取付管・本管を経て処理場へ至る下水の流れを図解で整理し、自然流下と圧送の違い、方式選定の考え方を維持管理の目線でやさしく解説します。
さらに、マンホールがない圧送管をどう点検するのか――空気弁から調査できる押込みカメラアジリオスの活用イメージまで紹介します。

「下水はどうやって流れている?」「どこを見れば異常に気づける?」を、初心者にも現場担当者にも分かる形で押さえていきましょう。

管 とおる

みかんちゃん。前回は雨水対策の話に熱が入っちゃって、話が進まなかったね。
→前回の話【汚水と雨水、そして雨水対策】←
今日はテンポよくいこう(笑)

諏訪 美管

大丈夫ですよ。雨水と汚水の違いとか、すごく勉強になりました!
ありがとう!それじゃあ、前々回の話で、
お風呂の水が家庭の排水管から【公共ます】に流れるところまで説明したよね。
お風呂の排水が家庭の排水管を通り、敷地内の公共ますへ流れていく様子を示した解説イラスト。浴室から出た生活排水が下水道へ接続される基本的な流れを分かりやすく表現している
今回はその先、つまりお風呂の水が下水道管を通って下水処理場へ行く流れを説明するよ!
はい!下水処理のしくみをぜひ教えてください!


公共ますから下水本管への流れと点検のポイント


まず、公共ますから下水管に繋がる管を【取付管】と言って、下水管を【本管】と言うんだ。
お風呂の水は家庭の排水管を通って、外の公共ますまでたどりついた後、取付管から本管に流れていくよ。

家庭の排水が、取付管を通って本管へ流れていく様子

わぁー! こんな風になってるんですね!!
本管の途中に何か所かある縦長のところはもしかしてマンホールですか?
その通り!!
マンホールを人孔(じんこう)と言って、本管の清掃や調査を行うために作られるている施設なんだよ。
下の写真でマンホールの底に横切っている部分が見えると思うんだけど、これが下水管、つまり本管なんだ。


人孔の内部から、本管が通っている様子

わぁ~! マンホールの中って初めて見ました(^^)
場所によっては深さ30mくらいあったり、地下3階建ての要塞みたいな施設が地下にできてるところもあるんだよ。



地下深くに設けられた人孔や下水道施設の内部を撮影した写真。はしご昇降や安全確保が欠かせない。
わぁぁぁ~! すごーい!!👀
そして本管は小さくて φ150mm、 大きいと φ3000mmくらいのものもあるんだよ。
下水道管内で行われる、人による点検作業の一例
φ3000mm! 直径3メートルの下水管なんてあるんですかー!?
大きい下水管てトンネルみたいですね!
本管の多くは φ200~300㎜くらいだけどね(^^)
こうして僕たちの使った水たちは本管を通って処理場に行くんだ。


Φ200の下水管内部をカメラ調査した映像。堆積物や管壁の劣化状況を点検するための管内検査画像。

φ200㎜

Φ1350の大口径下水管内部を管内カメラで撮影した映像。流水の状況や内壁の劣化状態を確認する調査画像。

φ1350㎜



下水はどう流れる? 自然流下とポンプでの流送の仕組み


さて、ここで問題。
下水が流れるのは、管に勾配をつけて下り坂みたいに設計されているからなんだけど、処理場までずっとずっと下り坂になっていると思う?
んんん~?
そうなると処理場に着く頃にはとんでもなく地下深くなっちゃいますよね?
それはなさそう……かといって、登り坂だと水は流れないし……
一体どうなっているんですか??
自然流下で、本管が深くなりすぎた場合、マンホールポンプや、中継ポンプ場を作るんだ。

家庭から発生した下水が公共ますを経て下水管に入り、勾配による自然流下とポンプ場での汲み上げを繰り返しながら最終的に下水処理場へ運ばれる一連の流れを示した解説イラスト
家庭から下水処理場まで、下水が運ばれる流れ

自然流下とは?


自然流下とは、下水道の管きょに少しずつ下り勾配をつけ、重力の力だけで水が流れるしくみのことです。
ポンプを使わずに排水できるため、もっとも基本的で多くの地域で採用されている方式です。

勾配と重力を利用して水が流れる、自然流下の仕組み


自然流下で下水が適切に流れるようにするため、流速の基準も設けられています。
区分 適正流速
汚水管 最小0.6 m/s ~ 最大3.0 m/s
雨水管・合流管 最小0.8 m/s ~ 最大3.0 m/s

自然流下はシンプルで信頼性が高い方式ですが、
地形によっては管路が深くなりすぎることがあり、その場合はマンホールポンプや中継ポンプ場でくみ上げて高さを調整します。
下水道が深くなりすぎた場合の仕組みを解説した図解イラスト。自然流下で下水が深くなり、途中でマンホールポンプ場を使ってポンプ圧送し、再び処理場へ送る勾配とポンプの役割を示している
自然流下とポンプを組み合わせて、下水を流す仕組み
こうした工夫により、経済的で維持しやすい効率的な下水道が実現されています。
自然流下は下水を流すうえで基本となる仕組みですが、
地形によっては勾配を確保できず、管が深くなりすぎてしまう場所もあります。
こうした「自然流下だけでは対応できない区間」を解決するために使われるのが、下水をくみ上げて高さを調整するポンプ施設です。

ポンプ施設とは?


下水道の管は基本的に自然流下で流れるようにつくられていますが、場所によっては勾配を確保できず、管が深くなりすぎてしまうことがあります。
そんなときに活躍するのが、下水をポンプの力で持ち上げて流れを続けるためのポンプ施設です。

下水道におけるマンホールポンプと中継ポンプ場の違いを示した比較図。左は小規模な下水を直接くみ上げるマンホールポンプ、右は大量の下水を集約して送水する中継ポンプ場の構造と役割を対比して解説している
小規模なマンホールポンプと、大規模な中継ポンプ場の違い
ポンプ施設には大きく分けて2種類あります
  • ・マンホールの中に直接設置するマンホールポンプ
  • ・大量の下水をまとめてくみ上げる中継ポンプ場

これらの施設は、自然流下では対応できない地点で下水をくみ上げ、管路の深さを浅く戻すことで、施工費や維持管理の負担を大きく減らす役割があります。
とくに都市部や高低差の大きい地域では欠かせない設備です。

マンホールポンプは、マンホールの中にポンプを入れて下水をくみ上げる仕組みです。

自然流下だけだと下水管をどんどん深くしないといけませんが、マンホールポンプを使えば管を浅い位置に戻せるので、工事・管理のしやすいムダの少ない下水道になります。
マンホールポンプ設備の構造と、現場での設置状況


また、多量の下水が集まりマンホールポンプでは対応しきれない場所では【中継ポンプ場】を使って中継・圧送します。
中継ポンプ場の内部に設置されたポンプ設備
へぇ~! こうやって処理場まで運ばれていくんですね。
じゃあもしポンプ場が止まったら大変ですね。
そうだね。停電とか機械が故障してもポンプが止まらないように、自家発電や予備ポンプが作動するような仕組みを作ってるんだ。
リスク管理ってことですね。
みかんちゃん、難しい言葉を知ってるね。
そのとおり。下水道は止めることが出来ないからリスク管理が重要なんだ。

あと、下水を送る方法としては、自然流下の他にも圧送方式で送ることがあるんだ。



自然流下式と圧送方式の違いと選定基準

自然流下式と圧送方式とは?

一般的に、下水道管きょは勾配のある自然流下式が基本となっています。

しかし、上水道・工業用水道・農業用水道などでは圧送方式が多く用いられており、 下水道でも自然流下が困難な地形では、部分的に圧送管を採用することがあります。

圧送方式はポンプで汚水を送るため、勾配設計に縛られず自由度が高いのが特長です。


自然流下式

自然流下式下水道の仕組みを示した模式図。住宅から出た排水が下水道管に設けられた勾配を利用し、ポンプを使わず重力によってマンホール方向へ流れていく基本構造を分かりやすく描いている
下水道で採用されている、自然流下方式の基本的な仕組み
  • 一定の下り勾配が必要
  • 深く掘削して埋設する必要がある
  • 工事期間が長く費用も高い
  • 管が大口径になる
  • マンホールから不明水が浸入する恐れがある
  • 流入・合流が自由に可能
  • 屈曲部や合流部にマンホールが必要



圧送方式

圧送方式下水道の仕組みを示した模式図。住宅からの排水がマンホールポンプで汲み上げられ、圧送管を通じて高い位置へ送られた後、自然流下管渠へ接続される構造を分かりやすく解説している
ポンプの圧力で下水を押し上げて送る、圧送方式の仕組み
  • 地形を問わず浅い埋設が可能
  • 工期・費用を大幅に削減できる
  • 小口径管で対応可能
  • 不明水が浸入しにくい構造
  • 流入・合流には圧力調整が必要
  • ポンプ設備の導入が必須

圧送管とは?


圧送方式下水道の仕組みを示した図解イラスト。ポンプ施設で下水を加圧し、密閉管内を流して高低差を越え、自然流下の高さで放流する流れを段階的に示している
圧送管を使って、起伏のある地形を越えて下水を送る仕組み
圧送管(あっそうかん)とは、ポンプの力で下水を押し流すために使われる密閉された管のことです。
自然流下のように勾配に頼らずに排水できるため、地形に制約されにくいのが大きな特長です。

圧送管は次のような場所で使われます:
  • ・自然流下では勾配が確保できない区間
  • ・低地や谷地形で下水が滞留しやすい場所
  • ・地中深く掘り下げると工事費が高額になる場所

圧送管の内部は水で満たされ、ポンプの圧力によって下水が送られます。
そのため、下水が逆流しないよう空気弁や止水装置が取り付けられています。

圧送管の仕組み


圧送管の基本的な仕組みはとてもシンプルです:
  • ① 下水がポンプ施設に集まる
  • ② ポンプが圧力をかけて管の中へ押し込む
  • ③ 密閉管の中を加圧状態で流れる
  • ④ 自然流下の高さまで到達したところで放流される

このしくみにより、圧送管は高低差のある区間を自由に越えることができるため、
管路を深く掘らずに済み、工事費や維持管理の負担を大きく減らせます。

ただし、圧送管は自然流下のようにマンホールから内部を確認できないため、
点検には空気弁から挿入できる専用カメラ(アジリオス)などの機器が用いられます。




圧送管の点検に必要なカメラ機器「アジリオス」

圧送管はマンホールがなく、内部の確認ができないという弱点があるんだ。
でも、途中にある空気弁から、アジリオスを使って点検できるんだよ!
へぇ〜!アジリオスってどんなカメラなんですか?
アジリオス外観。直視型の押込みカメラで圧送管点検に最適。
「アジリオス」は、直視式の押し込み型カメラで、
圧送管内部の調査に対応する高性能装置です。
  • 鮮明な映像をリアルタイムで確認
  • 自動水平・首振り機能付き
  • レーザースケールで管の変状測定も簡単!

↓↓↓ 詳しく知りたい方はこちら ↓↓↓


諏訪 美管

もっと知りたい方は次へ:
アジリオスを使用した圧送管の調査方法:下水道調査技術 (第23話)

圧送管の現場調査で使われる押込みカメラ「アジリオス」を例に、圧送管調査の手順や特徴を初心者にもわかりやすく解説しています。





お風呂の水はいろんな方式の下水管を通って、最終的に下水処理場に到着するんだ。
これらの施設は止めることができない、でも地中に埋まっていて点検も修理も大変なんだよ。
だからこそ、カンツールの下水道維持管理製品が役に立つんだよ。

知らないことばかりでした!
お風呂の水がこんなに冒険してるなんて……びっくりです。

次回は、処理場に届いたお風呂の水が、どうやってキレイな水になるのかを、
小学生でもわかるように説明するね!

えっ、それってもしかして、私が小学生レベルってことですか?(`ヘ´*)プンプン

そ、そんなことないよ!(汗)
処理場の話って実はすごく難しいんだ。
活性汚泥、OD方式、BOD、嫌気、無酸素、脱窒、富栄養化……とかね。

あ……(汗)
やっぱり小学生でもわかるようにお願いします(笑)



↓この記事で登場した製品↓
アジリオス
アジリオスを利用した圧送管の点検調査方法について


諏訪 美管

もっと知りたい方は次へ:
下水道処理場の仕組みをやさしく解説|汚れた水がきれいになるまで(第4話)

家庭から流れてきた汚水が下水処理場でどのようにきれいな水へと変わるのか、その基本的なプロセスをわかりやすく解説しています。


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