アジリオスを使用した圧送管の調査方法と詳細解析、革新的な下水道調査技術 (第23話)

2022年5月18日水曜日

アジリオス 圧送管 押込みカメラ



管 とおる

 

みかんちゃん、前回はゲームを楽しんだけど、今回はしっかり覚えて欲しいことを説明するね。

→【第22話】水循環を学ぶため『めぐるめぐみ』やってみた。←

諏訪 美管

はい😉 勉強モードに切り替えます。
では、これを見て。
わ~、とおるさん表彰されたんですか?
表彰みたいなものかな(^^)

首振り式押込みカメラ(アジリオス)による圧送管調査技術について【公益社団法人 日本下水道管路管理業協会】から新技術支援制度に採択されて、この度修了証をいただいたんだ。

→【 新技術支援 第15号 】首振り式押込みカメラ(アジリオス)による圧送管路内調査技術の確立←
 
わ~、すごーい!!
今回は、圧送管の調査方法の確立について説明するね。
はい😉、よろしくお願いします。







圧送管について


とおるさん、そもそも圧送管って他の下水管とは違うんですか~?
うん、一般的な下水管は下水が自然に流れるように下り坂の勾配をつけて設置されるんだけど、圧送管はポンプで流すから勾配に左右されずに自由なレイアウトで布設できたり、設置工事が簡単だったりするんだ!

下水を処理場まで運ぶのって自然流下だけじゃないんですね~!!
自然流下での下水管の設置が難しい場所には圧送管が適していて、河川横断での配置なんかもできるんだよ!
圧送管にも長所と短所があるから説明するね!


 1⃣ 圧送管の長所と短所

圧送管は基本的にマンホールポンプやポンプ室の先に敷設されています。
下水の流下には特性が発生し、腐食環境化になりやすくなります。

管の大きさは小口径~中口径と様々あります。

圧送管路の特徴は以下のとおりです。

長所

  • 既設管路や河川横断などでもレイアウトが自由な配管敷設が可能となる。
  • 口径が小さく、埋設深が浅く出来るため建設費が安くなる。
  • 圧送に耐えうる継手や管体を使うので、不明水の心配がない。

  • 短所

  • 常時満水の箇所があり、水を抜かないとカメラの視認が出来ない。
  • 人孔がないため調査機器を挿入することができない。
  • 開口部が存在しない区間が長く、長距離用カメラがないため視認が困難。
  • レイアウトが自由な反面、カメラを走行できない箇所ができる。
  • 圧送による送水のため、大規模な事故に繋がるケースがある。
  • ポンプ送水のため作業時間に制約がある。


  • 圧送管は長所と短所があることを覚えていてね。
    あと、下水管はコンクリート管や塩ビ管が多いんだけど、圧送管は下水管とは違う管種を使うんだ。

    管種・・・ハイ・・・。

     2⃣ 管種について

    圧送管の管種は【ダクタイル鋳鉄管】【モルタルライニングを施したダクタイル鋳鉄管】【エポキシ樹脂粉体塗装を行ったダクタイル鋳鉄管】の3種に大別されます。
    ダクタイル鋳鉄管は継手にゴム輪を用いており、迷走電流が流れにくいため電食被害を受けにくい。
    モルタルライニングを施すと耐食性、摩耗性が付与される。
    エポキシ樹脂粉体塗装はモルタルライニングよりさらに優れた耐食性を持ち、管内面が腐食環境下でも進行する可能性が低い。
    などの特徴があります。
    圧送管の管種に特徴があることを覚えていてね。
    それと、圧送管には空気弁という重要な部分があるんだ。

    空気弁・・・ハイ・・・

     3⃣ 空気弁について

    一般的に、圧送管の高い位置に空気弁が敷設され、加圧の場合は空気が排出され、負圧の場合は吸気される仕組みとなります。
    この空気弁を取外し、押込みカメラを挿入して管内の検査を行うことが可能です。


    圧送管もメンテナンスをしないと壊れたりするから、通常の下水管と同じように調査をしないといけない。
    だけど管が特殊だから自走式のカメラでは管内確認ができないんだ。

    えぇー! じゃあどうやって調査するんですか~!?
    圧送管の調査は【押込み式カメラだけど、直視・側視ができて100mの長距離ケーブルのアジリオス】を使うんだ。

    おぉー! アジリオス!


    アジリオスについて

    それでは、アジリオスについて説明だけど、こちらのページに詳しく書いてあるから見てきてね →アジリオスの詳細←

    スゴーイ😉
    アジリオスっていろんな機能があるんですね!


    アジリオスを圧送管の空気弁から挿入して管内調査をするんだ。 イメージはこんな感じ

    へぇ~!マンホールではなく空気弁からカメラを挿入するんですね。

    そう! アジリオスは空気弁から押し込みもできて、圧送管調査にとても適しているんだ!→アジリオスを使用した圧送管の点検調査←
    さらに圧送管調査のために拡張した機能もあるんだよ。
    それは、プッシュロッドノズルフロートスキッド。

    プッシュロッドノズル

    押込みカメラは管径が大きくなると挿入距離が減少します。
    標準的な直管の挿入距離は以下の通りです。
    圧送管の口径が大きく挿入距離を伸ばしたい場合は、ハードケーブルにプッシュロッドノズルを装着して挿入距離を伸ばすことができます。
    洗浄ノズルの水の推進力と押込みケーブルの挿入力を使うんですね。

    フロートスキッド

    圧送管は汚水が溜まりカメラが水没して、管内を視認することができない箇所が存在します。
    その場所ではカメラヘッドが水没しないように、カメラが水に浮くフロートスキッドを装着します。
    フロートスキッドは、空気弁から挿入や引抜きが可能で、φ600㎜(水深150㎜)の管でもカメラは浮遊して管頂部の確認が可能です。
    洗浄ノズルで挿入距離を伸ばしたり、カメラヘッドをプカプカ浮かせたり、状況に合わせてアジリオスは臨機応変に変身するんですね~(*^^*)


    圧送管の現場手順


    さて、圧送管を調査する前準備として、事前にいろいろと確認する必要があるよ。

    事前情報収集

    ① 管路縦断データ(竣工図)
    ② 管径 ・管種
    ③ ポンプ稼働時間状況(運転時間、手動切替え可能等)
    ④ ポンプ稼働時送水量
    ⑤ 空気弁の位置
    ⑥ 吐出先状況
    ⑦ 共用開始年、過去の事故事例

    わ~~~確認事項がいっぱい!


    作業の流れ

    1⃣空気弁の取外し

    2⃣アジリオスによる管内調査

    3⃣空気弁の復旧

    空気弁の取り外し
    空気弁の取り外しは、補修弁と 空気弁の間を取外します。
    この場所から取り外すことで不測の事態でマンホールポンプを稼働させなければならないときに、補修弁を閉めれば通水できるためリスクを軽減できます。


    圧送管の現場実施例


    アジリオスを使って圧送管を調査した時の現場事例を紹介するね。

    お願いします!!


    Case 1  送泥管の現場実施事例

    処理場から汚泥処理施設へ汚泥を送る送泥管の調査を行いました。

    空気弁φ75から押込みカメラを挿入し、管底に汚水が残っていましたがブラシスキッドを取りつける事でカメラの水没を抑制しました。
    また、スキッドがブラシの場合、汚泥をブルドーザのように押出して山を作らない事も確認できたため、挿入性の効果も確認できました。
    剥離個所のスケール測定も行い、詳細な30mの調査を行う事が出来ました。


    【管種:モルタルライニングダクタイル鋳鉄管、管径:φ350】


    Case 2  ポンプ場からの調査事例

    距離が300mの長い圧送管で、ポンプ場内と下流側の空気弁からアジリオスを挿入して調査を行いました。
    この調査では60m付近までケーブルを挿入する事が出来ました。
    また、側視を行う事で仕切り弁の状況も詳細に把握する事が出来ました。

    【管種:エポキシ樹脂粉体塗装管、管径:φ300】

    Case 3  水管橋の現場実施事例

    3号マンホールポンプの先が圧送管となっている箇所の調査を行いました。
    空気弁は水管橋にあり、この地点からアジリオスを挿入して調査を行いました。
    圧送管調査はポンプを停止して行う必要がありますが、日中は1時間に3回程度ポンプが稼働して調査が不可能だったため、運転回数が少ない深夜に作業を行いました。


    【管種:エポキシ樹脂粉体塗装管、管径:φ200】

    アジリオスはいろんな圧送管調査の実績があるんですね。


    アジリオスの視認性能について


    小口径の圧送管は十分な明るさと鮮明度で管内を把握できます。
    大口径での検証では、乾いたコンクリート管であればφ1350の大きさでも十分に視認できました。

    アジリオスのカメラは直視用照明が12灯、側視用照明が8灯あり、
    直視を見る場合20灯の光量、管壁を確認する場合は側視8灯で確認できるため、十分な明るさで圧送管調査を行うことができます。

    直視・側視(Φ1350)
    その他の管径(Φ200、Φ300)
    わー! φ1350の大口径でもこんなに綺麗に見えるんですね(^^)


    圧送管の洗浄について


    圧送管は管内に汚れが付着して管壁の確認が困難な場合がある為、状況によっては洗浄を行うことを推奨します。
    下の写真は、圧送管の洗浄前と洗浄後を比較した時のものです。
    清掃しないと管壁が見えなかったり、管壁の色が変わったりするんですね(・_・;)

    圧送管調査って、注意しなければいけない事がたくさんあるんだ。 ちなみにこれが、圧送管調査について書いた報告書の一部分。けっこうボリュームあるけど、みかんちゃん読んでみてね。 →報告書一部分←
    ひえー わかりました(/_;)

    ↓この記事で登場した製品↓
    アジリオス
    アジリオスを利用した圧送管の点検調査方法について


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