KANMAGAの記事をGoogleで検索できます。



下水管の点検と調査の違いを解説:緊急度判定につながる管内検査の使い分け【第6話】

2021年4月14日水曜日

公共下水道/カメラ調査

下水道の効率的な点検と調査:管内検査の使い分け  (第6話)
下水管の維持管理では、
「まずは点検して、必要に応じて調査を行う」
という流れが基本です。

しかし現場では、
点検調査の違いが曖昧なまま進めてしまい、
修繕改築判断に迷う
というケースも少なくありません。

点検は、異常の有無を広く・早く・見落とさず拾うためのもの。
一方、調査は、腐食たるみ損傷の度合いを定量的に評価し、
緊急度判定につなげるための工程です。

本記事では、
下水管維持管理の基本となる「点検」と「調査」の役割の違いと、
管内検査機器をどう使い分けるべきかを、
現場目線の会話形式で分かりやすく解説します。

若手担当者の理解整理から、
自治体・維持管理会社での説明資料づくりまで、
実務にそのまま使える考え方をまとめました。

管 徹

みかんちゃん、下水管の中を確認する一般的な方法について理解できたかな?
→前回の話【下水管の点検と調査について】←

諏訪 美管

はい。まずは簡単にぱぱっと管の中を【点検】して、悪い箇所があったらロビオンのような直視側視式カメラで【調査】する。でしたよね!
そうだよ。よく勉強しているね。
ただ、前回見た動画の中で下水管の中を見る機械がたくさん出てきたのですが、いろいろあってどれが一番いいのか分かりません。 使い分けたりしているんですか??
良いところに気がついたね。スゴイよ。今回は点検と調査の機械の使い分けについて説明するね!
はい。よろしくお願いします。



下水管は「点検→調査→修繕・改築判断」が基本フロー


先に結論です。
下水管の維持管理は「点検」で異状の有無を拾い、
調査」で状態を定量化してから、修繕改築を判断します。
点検だけで工法や優先順位を決めることは推奨されていません。

復習の意味を込めて、前回の「管理の流れ(ぐるぐるフロー)」をもう一度見よう。
この流れを押さえると、点検と調査の役割がはっきりするよ。

下水道では定義が決まっていて、下水管の耐用年数は50年。
ここで見てほしいのは、修繕改築の判断がどこで出てくるかなんだ。
修繕?改築?
ざっくり言うとこう。
修繕:今ある管を直して、所定の耐用年数の範囲で機能を保つ。
改築:更新や長寿命化対策で、あらためて耐用年数を確保し直す。

(11)修繕
老朽化した施設または故障もしくは損傷した施設を対象として、当該施設の所定の耐用年数内において機能を維持させるために行われるもの。

(12)改築
更新または長寿命化対策により、所定の耐用年数を新たに確保するもの。
①更新:既存の施設を新たに取替えること。
②長寿命化対策:既存の施設の一部を活かしながら部分的に新しくすること。

なんだか修繕・改築って治療や手術みたい!
維持管理って、下水道のお医者さんみたいですね~!
方法はいろいろあるけど、今は違いだけ覚えておこう。
そして重要なのは、点検から修繕・改築の判断に直行せず、必ず調査を通ることだよ。
それは、点検では簡易的にしか見ないから、修繕・改築の判断ができないってことですか?
その通り。判断するときは緊急度判定が重要で、主に次の観点で見ていくんだ。


  • ① 管渠の腐食がどの程度あるか?
  • ② 管渠のたるみ(勾配不良)がどの程度か?
  • ③ 管渠に異常がどれだけ分布し、どの程度損傷しているか?

この3つに軽度~重度のランクをつけて、スパン単位で緊急度判定を行うんだ。
だからこそ、点検の次に「調査」が必要になる。




下水管調査の基本:異状箇所をランク付けして緊急度判定する


この章のポイントは3つです。
下水管調査では、異状を「種類別にランク付け」し、
管1本の結果を「スパン(区間)」でまとめ、
最後に緊急度判定として修繕改築の優先順位につなげます。

それじゃあ、どうやってランク付けをしているかを説明するね!
異状の判定基準は、国交省の資料(P41~P44)にまとまっているよ。




流れはシンプル。
まずは異状を定量的に判定して「ランク」を揃える。
次に、管1本の結果をスパン(区間)でまとめて全体判定にする。
そして最後に緊急度判定として、修繕・改築の優先順位を決めるんだ。

異状箇所のランク付け(調査結果の整理)

① 異状を種類ごとに、損傷度を判定してランクを定める。
管種ごとに基準が分かれているので、同じ物差しで整理できるよ。

ヒューム管・陶管

塩ビ管

腐食たるみを判定する。
この2つは緊急度に直結しやすいので、基準に沿って段階評価するよ。

③ 管1本あたりの損傷結果から、スパン(区間)の全体判定を行う。
「管1本の良し悪し」ではなく、区間として優先順位をつけるのがポイントだよ。

④ ランクとスパン判定をもとに緊急度判定を行い、修繕・改築の判断へつなげる。
引用:公益社団法人日本下水道協会「下水道維持管理指針 実務編 -2014年版-」(抜粋)

もっと詳しく知りたいなら、日本下水道協会の「下水道維持管理指針」を参照すると整理しやすいよ。
(10.2.3「調査結果の判定及び評価」あたりが実務で使いやすい)

公益社団法人日本下水道協会「下水道維持管理指針 実務編 -2014年版-」

最初は難しく感じたけど、点検→調査→スパンランクって順を追って進めれば、
どこの管を直すべきかが、根拠を持って分かるんですね。



緊急度判定に必要な調査機器:直視側視式カメラが向く理由


この章の結論です。
緊急度判定では、腐食・たるみ・損傷を「見た」だけでなく、
位置寸法をそろえて定量的に評価する必要があります。
そのため、スケール測定や傾斜測定に対応しやすい直視側視式カメラが向きます。


ここで重要なのは、腐食・たるみ・管の損傷の度合いを定量的に判定すること。
つまり「なんとなく重そう」ではなく、幅・長さ・位置などを揃えて評価するってことだよ。

だから、距離や異状箇所のスケール測定が難しい直視式カメラより、
ロビオンみたいな直視側視式カメラの方が調査に向くんだ。
スケールで異常の幅をmm単位で押さえられると、損傷のランクが付けやすくなる。
たるみ(逆勾配)も同じだよ。
なるほど~!やはりロビオンは優秀ですね!!
・・・でもたるみ??
下水管って硬そうですけど、たるむんですか!?
施工時の転圧不足による圧密不良や、経年・地盤沈下で、下水管にたるみ(逆勾配)ができることがあるんだ。
たるみができると水が流れにくくなり、滞留しやすくなる。
その結果、腐食や悪臭の原因になることもあるよ。

じゃあ問題!下の写真のどちらかがたるみのあった現場。
1枚目と2枚目、どちらだと思う?
え?いまのお話だと、たるみに下水が貯まるから、
1枚目は正常で、下水が溜まっている2枚目がたるみですよ。簡単です!
とおるさんヒント出しすぎですよ~
ブブー。みかんちゃん残念!!
えー どういうことですか?
1枚目は下水を止めて調査したから、たまたま下水が無いだけ。
実際には逆勾配でたるんでいたんだ。
2枚目は下流側で土砂が溜まって、下水が堰き止められていただけ。
つまり、見た目だけでは判断できないってことだよ。

下水管内で流下が無いように見えるが逆勾配のたるみがある現場写真
1枚目:流下は無いが逆勾配でたるみ有
下水管内で下水が滞留しているが土砂溜まりが原因でたるみは無い現場写真
2枚目:土砂溜まりで滞留しているがたるみ無

確かに、目で見ただけじゃ1枚目の写真がたるみの管って分からないです!
なんで分かったかというと、ロビオンの傾斜測定で確認したからなんだ。
下の図の赤い線が管を横から見たイメージ。
通常は一定勾配のはずだけど、山になっている箇所があるよね。
ここが逆勾配でたるみになっていて、測定すると一目瞭然なんだ!
へぇ~ロビオンてすっごーい!
見た目では分からない異常も、正確に調査してくれるんですね。
それにしてもさっきのクイズの出し方はズルいですよ~。
ごめんごめん(笑)
でもこれがすごく重要なこと。

修繕・改築のための緊急度判定を出すには、
調査の中で異常のランクを正確に判定して、根拠を残す必要がある。
それをするには、やっぱり直視側視式カメラが強いんだ。

ロビオン(直視側視式カメラの一例)

ロビオンは、現場で求められる「見落とさない」だけでなく、
スケール測定傾斜測定など、判断の根拠を残すための機能が揃った管内調査カメラです。
走行性・操作性・安全性にも配慮されており、日進量の向上にもつながります。




下水管の点検に向く機器:まずは「見落とさない」道具を選ぶ


点検の役割は「異状の有無を広く拾う」こと。
調査のようにmm単位で測る前に、まず見落とさない道具と手順が大切です。
その観点で、点検に向く機器の考え方を整理します。


直視側視式カメラっていろいろできて調査にぴったりですね!
それじゃあ、点検するにはなにがいいんですか??
前回見たこの動画の、8分30秒くらいから機器がたくさん出てくるよね。
ここでは「点検」と「調査」で、道具の役割が違うことに注目して見てみよう。

動画を見る前に、点検のチェック観点を先に押さえよう。
点検では次のような「異状の兆候」を見落とさないことが目的だよ。

  • 管口から見える範囲で、破損・段差・土砂堆積などの「明らかな異状」を拾う
  • 水位や流れ方の違和感など、後で調査につなげる「兆候」をメモする




この動画だと、点検が管口カメラで、調査の機器は状況に応じていろいろあるんですね~。
画像クリックで拡大

この図のように、効率よく点検と調査をするために「適した機械の選び方」があるんだ。
まずは点検で見落とさない
そして、優先順位や工法判断が必要な箇所は調査で根拠を取る。

というわけで、次回からは点検(管口カメラなど)をもう少し詳しく説明するね。
はい、よろしくおねがいします(^^)



この記事で登場した「調査機器」の一例はこちら。
ロビオン

下水道のお困りごとは


カンツールでは 現場トラブルの相談機器のデモンストレーション等 を行っております。
ご要望がございましたらぜひご利用ください。

下水道維持管理製品がなんでも揃うカンツールの公式通販サイト。 排水管や下水道維持管理に必要な機材、下水道関連製品1500点を誇ります。

カンツールショップ

カンツールはYouTubeで情報を公開しています。

YouTube チャンネル登録
カンツール動画ポータル
カンツール動画ポータル カンツール動画ポータル