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官民連携で変わる下水道の未来:最新技術導入の実例と課題(第29話)

2022年10月24日月曜日

公共下水道



管 とおる

みかんちゃん、前回紹介した洗浄一体型カメラVIPERはどうだったかな?
→【第28話】海外の展示会で見つけた洗浄一体型カメラVIPERについて←

諏訪 美管

おーーーって感じです😀 
ホースと映像線が一体化していて、ステアリングノズルで行きたい方向を制御できたりすごかったです❤(ӦvӦ。)

スマートビューは管の中をすーっと走って点検できる簡易直視式カメラでしたよね!
とっても便利でまさにスマートに管を点検できると思いました♫
私が業者さんだったらこの2つは使ってみたいですね~!!

それじゃあ今日は、みかんちゃんが下水道の点検・調査をする業者、『株式会社みかん』と仮定して説明するよ!みかんちゃんの会社がこの最新機器【VIPER】【スマートビュー】を持っていたとして、どうやって仕事の案件を獲得する😎??  
う~~~ん、、せっかく最新機材を持っているならたくさん仕事したいけど、確かにどうやって仕事を見つけるんだろう?求人とかがあるのかなぁ??

残念ながら最新機器を導入したからといって、簡単に仕事にありつけるってことでは無いんだよ。  

そうなんですか!?

今回は、国や地方自治体が管理している公共事業
そのなかで最新機器を活用できる官民連携について説明するね。 分かりやすく説明するけど、覚悟しといてね(笑)  

は、はい~
すご~~く簡単にお願いします!








公共事業と官民連携

まず、公共事業っていうのは、道路や鉄道、学校や病院とか、分かりやすく言うとみんなが使うものを作ることなんだ!
じゃあ下水道はみんなが使うからもちろん公共事業ですね!!

その通り!でも、公共事業はみんなが使う平等なものだから、それに関わる工事業者も平等に選ばなければならないんだ!
公共事業に関わる費用は僕たちの税金だからね!

公共事業


道路,鉄道,上下水道,住宅,教育施設,公園などの社会資本の整備にかかる建設事業をいう。
公共工事を行う事業者を決定するための方法として、一般的に入札が行われる。

【第13話】公共下水道調査:受注から調査開始までには何を行う?


【第13話】でも説明したけど、入札には『●●入札』みたいにいくつか種類があって、公共事業では最も競争性、透明性、経済性等に優れた『一般競争入札』を原則としているんだ。
一般競争入札は一定の参加資格があればどんな企業も参加できるから競争率が高いんだよ。

なるほど~
よーし、競争率高めだけど『株式会社みかん』がんばるぞ~~!!

では、地方自治体が『下水道点検には最新式カメラの【スマートビュー】を使ってください』っていう条件付きの仕事を一般競争入札で発注したとするね。

はーい、 はーい、
私の会社はスマートビューを持っているから、入札参加しまーす!!

ワクワク❤(ӦvӦ。)

最新式カメラを持っている企業は、『株式会社みかん』だけで入札に参加したのは1社だけだったよ。
そういう場合はどうなると思う?

やったー。
その場合、ひとり勝ちなので私の言い値で仕事ができますね😀
むふふ


って思うだろうけど、入札が一社だけだと無効になることもあるんだ。

えぇ~~せっかくお仕事とれたと思ったのに~( ノД`)

これは『一社入札』と言って、有効か無効かの取り決めは法的にないけど、問題視されることが多いから 地方自治体は、特殊な機械や最新式の機械での仕事の発注をためらう傾向があるんだよ。

一社入札

一般競争入札を実施して、参加者が1社しかないことを一社入札と言います。
一社入札になった場合の取り扱いについては法令に規定されていません。
競争入札は、競争性を確保した上で、経済的な金額での契約を目指すもので、
競争相手が存在しないことは価格が高くなる可能性があります。
参加者が1社だけであれば、その時点で競争性が確保されなく無効とする考え方もあります。


最新機器を使って仕事ができない。
それって、自治体も、投資して機器を買った会社も両方にとって、よくないことじゃないんですか?

そういう考え方もあるけれど、公共事業は、公平性・公正性の観点から仕事を発注すること。
最新の機器を持った力ある会社だけが仕事をしていくのも、また問題だと思うんだ。
なるほど~確かにそうですね~

かといって、下水道は、[ヒト][モノ][カネ]の問題がある。

過去の復習だけど、最新機器を使って、効率的に管路の維持管理をしていかなければならないでしょ? 
【第19話】ストックマネジメントとアセットマネジメントって?
【第20話】広域化と共同化、スケールメリットで超節約!


お金の管理施設の管理纏めて管理
コストを抑えて効果的に事業を運営するにはやっぱり最新技術が必要です~~~ 一体どうしたらいいのでしょう??

そこで、注目を浴びているのが民間企業のノウハウや創意工夫を活用した官民連携なんだ。 事業の運営を効果的にするために国がいろいろと指針をだしているんだよ。  
官民連携?




官民連携


下水道事業を管理してるのは一般的に地方公共団体、これを【官】
仕事をしているのは民間事業でこれを【民】というんだ。
読んで字の如く、官と民が協力することだよ!
そもそも、今まで官と民は連携していなかったんですか??
従来の仕事の発注方式は、この機械で、こうやって、こういう成果をだして、こういう報告書をだして
って、発注者からの仕様が決まっていて、民間業者はそのとおりに仕事をしなきゃだめだったんだ。

でも、官民連携の考え方は、企画や維持管理の方法を民間が提案できること!
範囲を決めて結果だけを求めた発注方式なんだよ。
【この場所の管路の維持管理をしてください、維持管理の内容は提案してください】みたいにね。

なるほど~~!!それなら、最新機器を持っていない会社も参加出来ますし、 『株式会社みかん』も最新機器スマートビューを使用した維持管理方法を提案できますね😁

そう!民間の持つ多様なノウハウや技術を活用して、限られた予算で業務を効率化したり、サービスを向上させたりしようというのが目的で、性能発注とも言われることなんだ。

性能発注

性能発注とは、発注者が要求した品質やコスト、期間で実現できるように、発注条件を整理してから発注をかける方式
建物の形状や具体的な機器、材料までは決めずに、建物や設備がどのような能力を発揮すべきかという「性能」から条件を設定する。

条件を満たせば最新の技術を使って良いですよって事ですね。😀

そうなんだ。この考え方で、民間のノウハウや最新機器を有効に活用できる。
あと、官民連携の発注方式種類は、いろんな範囲があるんだ。

発注の範囲

(1)DB方式(Design Build)
  設計と建設を一括性能発注することでコスト縮減や高度な機能の提案が出来る。

(2)DBO方式(Design Build operate)
   民間事業に設計・建設・維持管理を一括性能発注する。維持管理の年数は長期になる。

(3)包括民間委託
   数年契約による施設の維持管理を性能発注で行う。

(4)PFI
   民間の資金を用いて公共施設等の建設、維持管理、運営等を行う。
   所有権の有無、時期により
   BTO(建設、譲渡、運営)
   BOT(建設、運営、譲渡)
   BOO(建設、所有、運営)
   に分類されるがBTO、BOTが一般的に採用される。

(5)コンセッション
   料金収入がある公共施設の運営事業において、公的機関が施設の所有権を有したまま民間事業者が当該施設を利用して事業の運営にあたる。

なんだかまた難しい言葉がたくさん。。。
とりあえず、官民連携でも(1)~(5)の発注の種類によって『株式会社みかん』が自由に提案していい範囲が変わるってことですね!

えっ!まぐれかもしれないけど合ってるよみかんちゃん!
そして、この中で管路の維持管理として採用されているのが、
(3)の包括的民間委託なんだ!

ホウキかつ大韓民国~~~???なんですかそれ~


落ち着いてみかんちゃん(笑)
包括的民間委託(ホウカツテキミンカンイタク)っていうのは、下水道の維持管理を部分的な委託じゃなくて、全体をまとめてお任せしますってこと!
この包括的民間委託を採用している地方自治体も増えてきているんだ!




包括的民間委託とは

受託した民間事業者が創意工夫やノウハウの活用により
効率的・効果的に運営できるよう、
複数の業務や施設を包括的に委託すること。
運営方法の詳細は受託者の自由裁量に任せる方式にする場合が多い。

包括的民間委託の良いところはなんといっても契約期間が長いこと
だから、単発的な調査ではなく、地域全体を勘案した長期的目線での維持管理を行うことが出来るんだ。

確かに、短い期間でいくつもの会社が部分的に維持管理するよりひとつの会社が維持管理した方が効率的ですよね!!

それと、さっき説明した性能発注を採用することによって、民間業者は自社製品を使用したり専門技術者を配置したりできるから結果的に円滑に効率化が図れるんだ。

民間が主導で維持管理することができるなら、最新機器の【VIPER】【スマートビュー】を使えますね😀

これが令和4年6月までの官民連携の実施状況だよ。
出典:国土交通省 下水道事業における官民連携の推進
包括的民間委託はまだそんなに多いっていうわけじゃないんですね~

ただ、包括的民間委託といっても万能じゃないんだ。 管理する側と仕事をする側で、関与のあり方、リスクのあり方を明確にしたり、いろいろ検討事項がでてくるんだよ。 この性能発注方式は、現在いろいろと実績を伸ばしているところなんだ。

下水道維持管理の機械も進化していれば、維持管理の方法も進化しているってことですね~

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