老朽化下水道の“調査困難箇所”を調査する水上走行カメラの活用事例を紹介。
重点調査の背景と現場のリアルな課題、その突破口を詳しく解説します。
1. 重点調査の概要
管 とおる
みかんちゃん、埼玉県八潮市で道路が陥没した事故をきっかけに、国が「特別重点調査」を本格的に始めたの覚えてるかな?
諏訪 美管
事故を起こさないために、30年以上前に建設された大きな管を優先的に調べようってやつですよね!
管 とおる
老朽化した大口径の下水道管が原因だったから、同じような構造や地盤条件を持つ地域を全国で調査することになったんだよね。
調査しなきゃいけない場所はこちら
・管径が2メートル以上
・平成6年度(1994年)以前に設置されたもの
調査しなきゃいけない場所はこちら
・管径が2メートル以上
・平成6年度(1994年)以前に設置されたもの
諏訪 美管
もっと知りたい方は次へ:
最新版:下水道の老朽化と対策|全国特別重点調査の全貌とは?(51話)
老朽化した下水道管路を対象にした国の全国特別重点調査の目的・手法・補助制度などを初心者にもわかりやすく解説しています。
2. 調査困難箇所について
管 とおる
でもね、みかんちゃん。実際に現場で重点調査をしようと思っても、簡単に調査できない管路って意外と多いんだよ。
諏訪 美管
どんなところですか?
管 とおる
例えば、こんな条件の管路、想像できるかな?
・直径が2000mm以上のボックスカルバート
・雨水放流先が河川で、流れがなくて停滞している
・水深が1.5m近くもある
・途中に曲がりがある
・延長が400m以上
これ、実は全部そろってる現場もあるんだよ。
・直径が2000mm以上のボックスカルバート
・雨水放流先が河川で、流れがなくて停滞している
・水深が1.5m近くもある
・途中に曲がりがある
・延長が400m以上
これ、実は全部そろってる現場もあるんだよ。
諏訪 美管
水深が150cmだと、カメラ水没してしまいますね。
管 とおる
そうなんだ。
フロートタイプの機材でも流れがないと前に進まない。
通線もできないし、ドローンも電波が届かない。まさに「詰み」の状態なんだ。
だけど、こうした場所こそ重点調査が必要なんだよね。
陥没のリスクも高いし、万が一事故が起きれば復旧にも時間がかかる。
でも「できないから放置」じゃ、もう済まされない時代になってきたんだ。
実は、そんな現場も実際に調査してきた事を、今回紹介するよ。
フロートタイプの機材でも流れがないと前に進まない。
通線もできないし、ドローンも電波が届かない。まさに「詰み」の状態なんだ。
だけど、こうした場所こそ重点調査が必要なんだよね。
陥没のリスクも高いし、万が一事故が起きれば復旧にも時間がかかる。
でも「できないから放置」じゃ、もう済まされない時代になってきたんだ。
実は、そんな現場も実際に調査してきた事を、今回紹介するよ。
諏訪 美管
えーそんな、場所も調査できる機械あるんですか!
3. 水上走行カメラの活用
管 とおる
そこで登場するのが、「水上走行カメラ」だよ。
今まで調査できなかったような場所でも、これなら入っていけるんだ。
今まで調査できなかったような場所でも、これなら入っていけるんだ。
諏訪 美管
おおっ!水上走行カメラってなんかカッコイイ名前ですね~!
水の上を走れるカメラって、まさに“未来の道具”って感じがします!
水の上を走れるカメラって、まさに“未来の道具”って感じがします!
管 とおる
このカメラは、浮体構造のロボットで水に浮いたまま走行できるように設計されてるんだ。
しかも、前進・後退だけじゃなくて、左右へのステアリング操作も可能なんだ。
だから、曲がりがある管路や停滞水でも、自在に進めるんだよ。
しかも、前進・後退だけじゃなくて、左右へのステアリング操作も可能なんだ。
だから、曲がりがある管路や停滞水でも、自在に進めるんだよ。
諏訪 美管
わたしが乗って操縦してみたくなっちゃいますね~(笑)
管の中を自由に動けるって、すごすぎますっ。
管の中を自由に動けるって、すごすぎますっ。
管 とおる
操作はタブレットからリアルタイムで行えるから、画面を見ながら遠隔で細かい操縦ができる。
カメラも高解像度で、暗い場所でも明るいLED照明付き。水中・水上どちらも鮮明な映像が撮れるよ。
カメラも高解像度で、暗い場所でも明るいLED照明付き。水中・水上どちらも鮮明な映像が撮れるよ。
諏訪 美管
スマホ感覚で操作できるって感じですね!
テクノロジーってすごいなぁ~♪
テクノロジーってすごいなぁ~♪
管 とおる
つまり、今まで“物理的に無理”だった調査箇所が、「水上走行カメラ」によって調査可能になったんだ。
特に重点調査対象になってるような大口径で水深のある場所にピッタリの機材だよ。
実際のプロモーション動画を見てみてね。「百聞は一見にしかず」ってやつさ。
特に重点調査対象になってるような大口径で水深のある場所にピッタリの機材だよ。
実際のプロモーション動画を見てみてね。「百聞は一見にしかず」ってやつさ。
まだ正式なリリース日は決まっていませんが、先行してご紹介させていただきます。
諏訪 美管
すごい!左右の黒い部分が動くことで流れがなくても走行できるんですね!
まさに、“救世主”って感じですねっ!
まさに、“救世主”って感じですねっ!
管 とおる
これは、土砂を乗りこえてる映像だよ。
諏訪 美管
土砂をどんどん、乗り越えてますね♪
4. 実際の調査事例と成果
管 とおる
じゃあ最後に、水上走行カメラを使って実際に調査できた事例を紹介しようか。
詳しい場所は、都合上紹介できないので、概要図だけ紹介するね
【調査現場】河川に流れる雨水管■2500×2500 130m
管 とおる
美管ちゃん、上の図を見てごらん。
これは調査対象になった雨水放流管の構造なんだ。
左にあるのがマンホール。ここから点検・調査がスタートするんだけど、
この先にある雨水管は2500mm×2500mmの大口径で、水位は常時150cmもあるんだ。
この管は延長が130mあって、途中で曲がりがあり、最終的には川へ放流されている構造になってるよ。
図の右上にあるのが放流口の写真で、見ての通り周囲は水で満たされていて、
通常のTVカメラは水没、フロート式の機材も流れが緩くて進まない。
さらに通線も曲がりの影響で難しく、ドローンも地下で電波が届かないから使えない。
まさに「従来の方法じゃ調査不可能」な典型的な困難箇所ってわけだね。
こんな現場を可能にするのが、水上走行カメラなんだ。
これは調査対象になった雨水放流管の構造なんだ。
左にあるのがマンホール。ここから点検・調査がスタートするんだけど、
この先にある雨水管は2500mm×2500mmの大口径で、水位は常時150cmもあるんだ。
この管は延長が130mあって、途中で曲がりがあり、最終的には川へ放流されている構造になってるよ。
図の右上にあるのが放流口の写真で、見ての通り周囲は水で満たされていて、
通常のTVカメラは水没、フロート式の機材も流れが緩くて進まない。
さらに通線も曲がりの影響で難しく、ドローンも地下で電波が届かないから使えない。
まさに「従来の方法じゃ調査不可能」な典型的な困難箇所ってわけだね。
こんな現場を可能にするのが、水上走行カメラなんだ。
諏訪 美管
この流れがない130mを行ったのですか?
管 とおる
そうなんだ。しっかり調査できたよ。
詳しく紹介できないので、部分的な写真はこちらだよ。
諏訪 美管
カメラの映像がキレイに映ってますね。最後の、川で浮かんでいる視点もしっかり撮れていますね。
【調査現場】河川に流れる雨水管■2700×2150 420m
管 とおる
みかんちゃん、もう一つ実例を紹介するよ。
今回の現場は、全長420mの雨水管で、かなりの長距離。
管のサイズは2700mm × 2150mmと大きく、水位も常時150cmある状態だ。
調査の出発点は左側のマンホール。右に曲がって長く流れ、また左に曲がって、そこから川の方に向かって
最後は放流口から川に排水される構造になってるんだ。
通常のTVカメラでは水没。通線しても途中で止まってしまうし、長さ的にも限界がある。
ドローンも飛ばせないし、フロート式のカメラも前に進まない。
こうなるともう、通常の手段じゃ調査不可能ってことになる。
実際、こういう現場は重点調査の対象にもなるけど、対応できる機材がないから“やりたくてもできない”ってパターンが多いんだ。
そんなときに頼りになるのが、やっぱり「水上走行カメラ」ってわけさ。
水に浮かびながら、420mもの長距離を自走して調査できるなんて、ちょっと前までは考えられなかったよね。
今回の現場は、全長420mの雨水管で、かなりの長距離。
管のサイズは2700mm × 2150mmと大きく、水位も常時150cmある状態だ。
調査の出発点は左側のマンホール。右に曲がって長く流れ、また左に曲がって、そこから川の方に向かって
最後は放流口から川に排水される構造になってるんだ。
通常のTVカメラでは水没。通線しても途中で止まってしまうし、長さ的にも限界がある。
ドローンも飛ばせないし、フロート式のカメラも前に進まない。
こうなるともう、通常の手段じゃ調査不可能ってことになる。
実際、こういう現場は重点調査の対象にもなるけど、対応できる機材がないから“やりたくてもできない”ってパターンが多いんだ。
そんなときに頼りになるのが、やっぱり「水上走行カメラ」ってわけさ。
水に浮かびながら、420mもの長距離を自走して調査できるなんて、ちょっと前までは考えられなかったよね。
諏訪 美管
420mの長い管渠も調査できたのですか?
管 とおる
ケーブルを引っ張りながら、90度の2曲がり
420mを、この水上走行カメラで走行できたんだ。 これが、管内の状況写真だよ。
420mを、この水上走行カメラで走行できたんだ。 これが、管内の状況写真だよ。
諏訪 美管
流れがなくても、ケーブルを引っ張って420mも水上を走行するなんて凄いです!
5. まとめ|重点調査を成功させるために
管 とおる
まとめると──
Φ2000mm以上で、1994年(平成6年)以前に建設された大口径管路は、
全国特別重点調査で必ず確認しないといけないんだ。
でも、そういう重要な場所ほど、構造的に調査が難しいケースが多い。
TVカメラや通線が使えない“詰み”の現場も少なくないからね。
だからこそ、水上走行カメラみたいな新しい技術を活用して、
現場の限界を突破していくことが、これからのインフラ管理には欠かせないんだよ。
Φ2000mm以上で、1994年(平成6年)以前に建設された大口径管路は、
全国特別重点調査で必ず確認しないといけないんだ。
でも、そういう重要な場所ほど、構造的に調査が難しいケースが多い。
TVカメラや通線が使えない“詰み”の現場も少なくないからね。
だからこそ、水上走行カメラみたいな新しい技術を活用して、
現場の限界を突破していくことが、これからのインフラ管理には欠かせないんだよ。
諏訪 美管
すごいです!
難しい場所でもちゃんと調べて、事故を防ぐなんて、未来の下水道って感じですね!
私も、現場でちゃんと役に立てるように頑張りますっ!
難しい場所でもちゃんと調べて、事故を防ぐなんて、未来の下水道って感じですね!
私も、現場でちゃんと役に立てるように頑張りますっ!
管 とおる
その意気だね、みかんちゃん。
安全な街づくりは、こうした地道な調査から始まってるんだ。
僕たちの仕事で、少しでも災害を減らせたらうれしいよ。
安全な街づくりは、こうした地道な調査から始まってるんだ。
僕たちの仕事で、少しでも災害を減らせたらうれしいよ。
諏訪 美管
2025年9月10日(下水道の日):
【特別講演:オンラインセミナー】管路協会【長谷川健司 会長】が語る「下水道に未来はあるか」
業界を牽引する長谷川健司会長が、高坂実優さんとの対話形式で「下水道の今」と「未来」を描くオンライン講演をご紹介します。
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