下水道維持管理の事故報告書には、同じ言葉が何度も繰り返し記されています。
しかし、酸欠・硫化水素・増水による事故は、決して偶然や不運ではありません。
そこには、現場ごとに形を変えながらも共通して存在する「事故を招く条件」が確実に重なっています。
本記事では、下水道工事・維持管理現場で実際に発生した事故事例をもとに、
なぜ経験豊富なベテラン作業員であっても事故を防げなかったのか、
現場のどこに判断ミスや見落としが生じていたのかを、安全管理の視点から構造的に分析します。
さらに、精神論や注意喚起に終始するのではなく、
現場責任者・安全担当者が今日から実践できる具体的な安全管理対策を整理し、
「事故は防げる」という現実的なアプローチを分かりやすく解説します。
管 とおる
最近、下水道の維持管理現場での痛ましい事故のニュースをよく耳にするね。
みかんちゃん、現場での事故ってどうして起きると思う?
みかんちゃん、現場での事故ってどうして起きると思う?
諏訪 美管
えーっと、うっかりマンホールに落ちちゃったとかですか?
でも、現場の人ってベテランの「プロ」ですよね?
毎日やってる仕事だし、ヨシ!って確認してるから大丈夫な気がするんですけど…。
でも、現場の人ってベテランの「プロ」ですよね?
毎日やってる仕事だし、ヨシ!って確認してるから大丈夫な気がするんですけど…。
管 とおる
そこなんだよ、みかんちゃん。
実は、その「毎日やってるから大丈夫」という慣れと慢心こそが、プロを襲う一番の敵なんだ。
ベテランほど「経験則」に頼りすぎて、見えない危険を見落としてしまうことがあるんだよ。
実は、その「毎日やってるから大丈夫」という慣れと慢心こそが、プロを襲う一番の敵なんだ。
ベテランほど「経験則」に頼りすぎて、見えない危険を見落としてしまうことがあるんだよ。
諏訪 美管
ええっ!? 経験豊富なベテランさんも危ないんですか!?
「慣れ」が敵だなんて…なんだか急に怖くなってきました…。
「慣れ」が敵だなんて…なんだか急に怖くなってきました…。
管 とおる
そう、特に下水道には「硫化水素」や「酸欠」といった、目に見えない即死級の罠が潜んでいるからね。
一瞬の油断が命取りになる。
だからこそ、今日は改めて「現場の安全管理」についてしっかり確認しておこう。
一瞬の油断が命取りになる。
だからこそ、今日は改めて「現場の安全管理」についてしっかり確認しておこう。
諏訪 美管
ひえぇぇ…見えない罠…目が回りそうです…。
でも、命を守るためならしっかり勉強しなきゃダメですね!
でも、命を守るためならしっかり勉強しなきゃダメですね!
管 とおる
その意気だよ。
今日は事故のパターンと、それを防ぐための「危険予知」のポイントを解説するよ。
さらに詳しい内容はオンラインセミナーでも話しているから、まずはこの記事で基本を押さえよう!
今日は事故のパターンと、それを防ぐための「危険予知」のポイントを解説するよ。
さらに詳しい内容はオンラインセミナーでも話しているから、まずはこの記事で基本を押さえよう!
諏訪 美管
はいっ! 自分の身を守るためにも、しっかりチェックします!
徹さん、解説お願いします!
徹さん、解説お願いします!
下水道維持管理の事故を防ぐ|現場の「ヒューマンエラー」と危険予知
「いつも通り」が命取りに。統計が示す事故の現実
「この作業手順は体に染みついている。今日も問題ないはずだ」
その一瞬の慢心が、取り返しのつかない事態を招きます。
多くの下水道維持管理現場で発生しているのは、不可抗力の災害ではなく、手順を守れば防げたはずの「人災」です。
国土交通省等の最新データによれば、維持管理作業における死傷事故は依然として後を絶ちません。
特に、酸欠や硫化水素中毒、雨天時の流出事故は、一度発生すれば高い確率で事故に直結します。
なぜ、作業者が犠牲になるのか。
その原因の大半は、知識不足、確認不足、情報共有のミスといった「ヒューマンエラー(人的要因)」にあります。
事故直前の「危険な思考」チェック
以下の内容に一つでも心当たりがあれば、あなたの現場は危険信号です。
-
ガス検知の省略・過信「臭いがしないからガスは出ていない」という判断。
※高濃度の硫化水素は瞬時に嗅覚を麻痺させます。「臭いがない=安全」ではありません。 -
天候判断と作業時間の過信「現場の上空は晴れているから大丈夫」「あと5分で終わるから」「少しだけだから安全帯は不要」という判断。
※実際には、上流部でのゲリラ豪雨により鉄砲水が数十分後に到達するリスクがあり、
この“少し・短時間”という油断が重大事故を招いています。 -
撤収時の気の緩み「作業完了、早く帰りたい」という焦り。
※事故の多くは、本作業中ではなく、緊張が途切れる撤収時や片付け中に発生しています。
硫化水素は臭いの有無では安全判断ができないことを直感的に理解できる
上流からの急激な水の流入が、避難行動を著しく困難にすることが分かる
地上と地下で状況認識がずれることが事故につながる点を現場で共有
データで見る「下水道現場の5大リスク」
下水道業務において、特に致死率が高い事故類型を5つに整理しました。
新人教育や安全大会の資料として改めてご確認ください。
| 事故類型 | 具体的な危険性と対策ポイント |
|---|---|
| ① 流され事故 |
管渠内作業中の急激な増水。 局地的な集中豪雨が増加している昨今、もっとも警戒すべきリスクです。逃げ場のない管内では一瞬で命を落とします。 |
| ② 有毒ガス・酸欠 |
硫化水素や酸欠は「見えない・臭わない」まま忍び寄ります。 濃度によっては一呼吸で意識を失い、救助者も巻き込む二次災害に繋がります。 |
| ③ 転落・落下 |
マンホールの縁に物を置いて後ずさりして落下するなど、基本的な安全確認不足が主因。 昇降設備の不備や安全帯の不使用も要因となります。 |
| ④ 挟まれ・激突 |
重量のあるマンホール蓋による指詰めや、止水プラグの破裂(砲弾のような衝撃)による大事故。 正しい治具の使用が求められます。 |
| ⑤ 熱中症・感染症 |
管内の高温多湿環境や、汚水由来の破傷風など。 夏場は地上の照り返しによる熱中症リスクも無視できません。 |
下水道工事の事故事例|硫化水素・酸欠が招く「二次災害」の恐怖
管 とおる
ここからは、実際に起きてしまった事故を悼みつつ事例を説明するね
少し怖い話になるけど、現実を知ることが一番の勉強になるからね。
少し怖い話になるけど、現実を知ることが一番の勉強になるからね。
諏訪 美管
事故って特殊な環境の現場で起きるんですよね?
私たちがやるような、いつもの作業なら大丈夫ですよね?
私たちがやるような、いつもの作業なら大丈夫ですよね?
管 とおる
いや、それが違うんだ。
実は、事故の多くは清掃や片付けといった「日常の業務」にも起きているんだよ。
「いつもの作業だから」という油断が、最大の罠になるんだ。 しかも、酸欠や硫化水素の現場で恐ろしいのが「二次災害」なんだ。
倒れた仲間を助けようとして飛び込んだ人が、次々と犠牲になってしまうケースが後を絶たないんだ。
実は、事故の多くは清掃や片付けといった「日常の業務」にも起きているんだよ。
「いつもの作業だから」という油断が、最大の罠になるんだ。 しかも、酸欠や硫化水素の現場で恐ろしいのが「二次災害」なんだ。
倒れた仲間を助けようとして飛び込んだ人が、次々と犠牲になってしまうケースが後を絶たないんだ。
諏訪 美管
そんな…! 仲間を助けたいと思っただけなのに…。
私も倒れた人見たら、パニックになって助けにいっちゃうかも…。
私も倒れた人見たら、パニックになって助けにいっちゃうかも…。
管 とおる
だからこそ、「なぜ事故が起きたか」という情報を知り、
感情ではなく知識で動けるように訓練しておく必要があるんだ。
悲劇を繰り返さないために、過去の事例をしっかり見ていこう。
感情ではなく知識で動けるように訓練しておく必要があるんだ。
悲劇を繰り返さないために、過去の事例をしっかり見ていこう。
諏訪 美管
はい! もう二度と悲しい事故を起こさないために。
怖いけど、しっかり直視して勉強します!
怖いけど、しっかり直視して勉強します!
特別な現場ではない。「いつもの作業」に潜む罠
「あの事故は特殊な環境だったから起きたのだろう」
「うちはベテラン揃いだから関係ない」
もしそう感じたなら、その認識こそが最も危険な兆候です。
過去の事故の大半は、清掃・点検・片付けといった日常的な維持管理業務の最中に発生しています。
特に恐ろしいのは、仲間を助けようとした同僚が次々と倒れる「二次災害」です。
ここでは、過去の痛ましい事例から再発防止の教訓を学びます。
事例①:換気停止と満潮逆流の悲劇
上流・下流、複数マンホール間の連携不足が事故につながることを共有
この事故は、最も気が緩みやすい「作業終了後の片付け中」に発生しました。
撤収のため送風機を停止した直後、満潮による逆流で土嚢が崩壊。
汚泥が撹拌され、マンホール内に致死レベル(推定700ppm以上)の硫化水素が充満しました。
倒れた作業員を救助しようとした同僚も、保護具なしで入孔し、次々と意識を失う最悪の二次災害となりました。
【なぜ防げなかったか】
以下の「負の連鎖」が重なりました。
- 「片付け」という油断による換気停止
- 自然条件(潮位)のリスク評価不足
- 「仲間を助けたい」という情動による、無防備な入孔
事例②:空気弁交換中のガス噴出
閉塞解消や弁操作時に起こり得る水位変動・ガス挙動を現場で共有
「作業前測定は異常なし」「仕切弁も閉鎖済み」。
手順通りに見えた現場で、空気弁を取り外した瞬間に事故は起きました。
閉めたはずの仕切弁が意図せず開き、滞留していた高濃度硫化水素が作業員の顔面を直撃したのです。
【なぜ防げなかったか】】
設備トラブルは予期できませんが、命を守る砦は「検知」です。
- 作業中も常時ガス検知(リアルタイム測定)を行っていれば、濃度の急上昇に気づけた可能性があります。
- 「作業前測定=その後の安全保証」ではありません。環境は刻一刻と変化します。
事例③:「写真だけ」の単独入孔
写真撮影や単独入孔が即死事故につながる危険性を現場で共有
「写真を撮るだけだからすぐ終わる」「嫌な臭いもしないし大丈夫」。
軽い判断でマンホールに入った作業員が、1万ppm(即死レベル)の硫化水素を吸い込み亡くなりました。
【なぜ防げなかったか】
硫化水素は低濃度では腐卵臭がしますが、高濃度になると嗅覚神経を麻痺させ、無臭に感じさせます。
「臭くない=安全」という五感による判断は、下水道現場では非常に危険な認識です。
事例④:閉塞解消の瞬間のガス流入
複合ガス環境では救助者も含めた二次災害が起きやすいことを現場で共有
本管の詰まり(閉塞)を除去する作業中、詰まりが抜けた瞬間に事故が発生。
上流に溜まっていた大量の汚水と共に、高濃度のガスが一気に下流へ流入しました。
【なぜ防げなかったか】
管内の閉塞解消時は、上流の空気がピストンのように押し出されるため、ガス濃度が急上昇します。
- 「詰まりが抜ける瞬間=最も危険なタイミング」という認識不足
- 作業中も常時ガス検知(リアルタイム測定)を行っていれば、濃度の急上昇に気づけた可能性があります。
オンラインセミナーでは11の事故事例を更に詳しく解説しています。
実際の現場経験をもとに、安全管理を見直す必要性を分かりやすく伝えている
下水道工事の事故原因を分析|現場に潜む「4つの不足」とヒューマンエラー
諏訪 美管
う〜ん…。事故のニュースを見ていると、「どうしてそんなことしちゃったの?」って思うことがあります。
管 とおる
確かにそう見えるよね。
実は、事故の背景には必ず「4つの不足」が隠れていると言われているよ。
実は、事故の背景には必ず「4つの不足」が隠れていると言われているよ。
諏訪 美管
4つの不足、ですか?
「寝不足」とか…ではないですよね?
現場で何が足りないと事故になるんですか?
「寝不足」とか…ではないですよね?
現場で何が足りないと事故になるんですか?
管 とおる
それも一理あるよ。体調管理はとても大事
ここで言う不足とは、「知識不足」、「慢心・注意不足(人的ミス)」、「情報不足」、「共有不足」が重なると事故は起きるんだ。
ここで言う不足とは、「知識不足」、「慢心・注意不足(人的ミス)」、「情報不足」、「共有不足」が重なると事故は起きるんだ。
諏訪 美管
なるほど! 「知らない」とか「伝わってない」ことが原因なら、
気合いで頑張るんじゃなくて、ちゃんと対策できそうですね!
気合いで頑張るんじゃなくて、ちゃんと対策できそうですね!
管 とおる
その通り!
「運が悪かった」で済ませずに、事故の発生メカニズムを分解して考えることが重要なんだ。
ここからは、その具体的な中身を見ていこう。
「運が悪かった」で済ませずに、事故の発生メカニズムを分解して考えることが重要なんだ。
ここからは、その具体的な中身を見ていこう。
諏訪 美管
しっかり学んで、現場の安全を守れるようになりたいです!
管 とおる
よし、じゃあ現場に潜む「4つの不足」について解説していくよ。
より詳しい対策やノウハウはセミナーでも話しているから、まずは基本をここで押さえよう。
より詳しい対策やノウハウはセミナーでも話しているから、まずは基本をここで押さえよう。
事故の根本原因は「4つの不足」にある
事故調査報告書を分析すると、多くの事例で共通して以下の「4つの不足」が指摘されています。
これらは個人の不注意というより、組織的な安全教育の仕組みでカバーすべき課題です。
-
要因① 知識不足「ガスの特性」や「雨水到達時間のメカニズム」など、科学的な根拠を知らない。
-
要因② 慢心・注意不足(ヒューマンエラー)「今まで大丈夫だったから」という経験則への過度な依存。
-
要因③ 情報不足リアルタイムの気象情報や、管内環境のモニタリング機器の活用不足。
-
要因④ 共有不足地上監視員と管内作業員の連携ミスや、緊急時対応マニュアルの形骸化。
知識・判断・情報・共有の不足が重なることで事故が発生することを現場で共有
小さなミスや情報の欠落が積み重なり重大事故に至る過程を現場で共有
しかし、多くの事故現場を詳細に分析すると、そこには偶然ではなく、起きるべくして起きた「理由」が存在します。
労働災害は、作業員個人の不注意だけで発生するものではありません。
背景には、知識の欠落、手順の形骸化、組織的な共有不足といった「目に見えないリスク」が積み重なっています。
ここでは、下水道現場における事故原因を「4つの不足」に分解し、日常業務に潜む危険の正体を明らかにします。
原因①:知識不足 ― 「知らない」ことが最大のリスク
最も恐ろしいのは、「危険を危険として認識できない」ことです。
例えば、「硫化水素は高濃度になると嗅覚神経を麻痺させる」という事実を知らなければ、「臭くない=安全」という誤った判断を下し、死に至ります。
五感や経験だけに頼った判断が重大事故につながることを共有
-
【現場あるある】危険な思い込み「臭いがしないからガスは出ていないはず(嗅覚麻痺の無知)」
「天気は晴れているから水は来ない(上流のゲリラ豪雨到達時間の無知)」
「詰まりが抜けた!よし終わりだ(閉塞解消時のピストン作用によるガス噴出の無知)」
原因②:人的ミス(ヒューマンエラー) ― 「あと少し」が命取り
事故の多くは、「慣れ」「焦り」や、「自分だけは大丈夫」という慢心が引き金になります。
過去の事故事例を見ても、「測定の省略」「換気停止」「単独入孔」といった、基本ルールからの不安全行動が見られます。
「少しだけ」という判断が事故を招く瞬間を現場で共有
-
【現場あるある】魔が差す瞬間「少しの作業だから防護具はつけなくていいだろう(省略)」
「写真だけ撮るからすぐ戻るよ(過信)」
「作業は終わったし、片付け中だから換気は止めてもいいよね(油断)」
原因③:情報不足 ― 「見えない変化」への警戒欠如
事故を防ぐには、目の前の現場情報だけでは不十分です。
上流の雨雲レーダー、管内の水位変動、ガス濃度のリアルタイム推移。
これらの「目に見えていない情報」こそが、生死を分ける鍵となります。
上流情報や常時監視の欠如が事故につながる点を現場で共有
-
【現場あるある】情報の空白「上流の天気まではチェックしていない」
「測定は作業開始前だけでいいと思っていた(常時監視をしていない)」
原因④:共有不足 ― 「伝わっていない」悲劇
地上と地下の連携ミス(コミュニケーションエラー)も重大事故の主因です。
管内は電波が届きにくい環境ですが、無線トラブルの放置や、緊急時の合図・救助手順が共有されていないことが、逃げ遅れや二次災害を招きます。
無線不通や思い込みが二次災害につながることを現場で共有
-
【現場あるある】連携の不全「無線が届かないけど、まあ大丈夫だろう」
「この作業手順はみんな知っているはず(と思い込む)」
「誰が救助に行くか決めていなかった(二次災害の温床)」
事故は、これら「4つの不足」が重なった時に発生確率が急上昇します。
裏を返せば、これらを「個人の注意力」ではなく「組織の仕組み」でカバーできれば、重大事故の大半は防ぐことが可能です。
しかし、「具体的にどのような教育や仕組みを作ればいいのか?」と悩まれる管理者の方も多いのが現実です。
下水道工事の事故防止対策|今日から使える「安全管理6つの鉄則」
管 とおる
ここまで事故の怖さを話してきたけど、現場からは
「そんなに細かくチェックしてたら仕事が終わらないよ!」
なんて声が聞こえてきそうだね。
「そんなに細かくチェックしてたら仕事が終わらないよ!」
なんて声が聞こえてきそうだね。
諏訪 美管
あー、すごくわかります!
「日が暮れちゃうよ!」ってボヤいてる職人さんの顔が浮かびますもん。
安全が大事なのはわかってても、手間がかかるのは嫌がられますよね…。
「日が暮れちゃうよ!」ってボヤいてる職人さんの顔が浮かびますもん。
安全が大事なのはわかってても、手間がかかるのは嫌がられますよね…。
管 とおる
そこなんだよ。でも、安全対策は「手間」じゃなくて、命を守るための「投資」なんだ。
諏訪 美管
命を守ることを最優先ですよね。
安全管理は「手間」ではなく「投資」。仕組みで事故を防ぐ
「マニュアル通りの手順が大事なのは分かるが、現場は時間との勝負だ」「毎回すべての項目をチェックしていたら作業が終わらない」
現場監督や職長の方々から、よく聞く本音です。
しかし、前述の事故事例が示す通り、事故は「ほんの数分の手抜き」をした瞬間に発生しています。
ここでは、設備投資をせずとも、明日の現場からすぐに導入できる具体的かつ効果的な5つの改善策を提示します。
これを「チームの共通ルール」にするだけで、生存率は劇的に向上します。
鉄則① ガスの「常時測定」と「常時換気」を徹底する
事故原因の筆頭は、ガスの突然の濃度上昇(突発的な発生)です。測定と換気は「作業開始前」だけでなく、「作業中・片付け中・撤収時」まで継続するのがプロの鉄則です。
常時測定・常時換気をルール化する重要性を現場で共有
-
今日からの「改善」✅ ガス検知器は作業中も“常時ON”にし、警報が聞こえる位置に携帯する。
✅ 地上に全員が上がるまで、換気ファンを絶対に止めない。
鉄則② 上流域の天候を“現場より先に”確認する
流され事故の特徴は、「現場の上空は晴れているのに、鉄砲水が押し寄せる」というタイムラグです。下流(現場)の空だけを見ていては、命を守れません。
上流域の天候確認と作業中断判断を仕組み化する重要性を現場で共有
-
今日からの「改善」✅ 雨雲レーダーアプリ等で、必ず上流域の雨雲を確認する。
✅ 監視員の中に「天候監視担当」を指名する。
✅ 豪雨予報が出たら、雨が降り始める前に作業中断・撤収する勇気を持つ。
鉄則③ 救助は“丸腰で行かない” ― 二次災害ゼロの徹底
重大事故の約半数は、倒れた仲間を助けようとした人が犠牲になる二次災害です。「助けたい」という正義感が、装備なしでの入孔を招き、共倒れを引き起こします。
空気呼吸器の使用と地上からの救助を徹底する重要性を現場で共有
三脚・ウインチ・空気呼吸器を用いた地上主導の救助体制を現場で共有
-
今日からの「改善」✅ 救助時は必ず空気呼吸器(SCBA)を使用する。
✅ マンホール上部には三脚・ウインチを常設し、すぐ引き上げられる準備をする。
✅ まずは「入孔」せず、地上からの送気で被災者の生存領域を確保する。
鉄則④ 整理整頓と導線確保 ― 転倒・落下を防ぐ
事故は地下だけでなく、地上でも多発しています。特に開口部への転落や、歩行者を巻き込む事故は、基本的な5S(整理・整頓)で防げます。
開口部周辺の放置物が転倒・転落事故につながることを現場で共有
-
今日からの「改善」✅ 使用しない工具・ホースは“都度片付ける”習慣をつける。
✅ マンホール周囲は必ずバリケードで区画し、第三者の侵入を防ぐ。
鉄則⑤ 熱中症・体調管理 ― 判断力を鈍らせない
夏場の管内や路上作業において、熱中症は判断力を奪う大敵です。体調不良は「手順の省略」や「判断ミス」を誘発し、重大事故の引き金になります。
照り返しによる体調悪化が判断ミスを招く点を現場で共有
-
今日からの「改善」✅ 水分・塩分補給を義務化し、暑さ指数(WBGT)に応じた休憩時間を設ける。
✅ 「体調不良=自己管理不足」と責めず、申告しやすい空気をつくる。
安全は「意識」ではなく「仕組み」でつくる
ここまで紹介した5つの鉄則は、高額な投資が必要なものではありません。明日から「やるか、やらないか」だけの違いです。
事故を防ぐための本質はシンプルです。
「危険を“知り”、危険を“見える化し”、全員で“共有する”こと」。
これこそが、下水道維持管理における最も効果的な安全管理です。
下水道現場の安全大会・教育に|事故ゼロを目指す「無料セミナー」
管 とおる
さて、ここまで事故の怖さと対策について話してきたけど、
みかんちゃん、これを明日から現場のみんなに説明できるかい?
みかんちゃん、これを明日から現場のみんなに説明できるかい?
諏訪 美管
ええっ!? 私がですか?
うーん…「とにかく危ないから気をつけて!」くらいしか言えないかも…。
論理的に説明するのって、すごく難しいですよ〜。
うーん…「とにかく危ないから気をつけて!」くらいしか言えないかも…。
論理的に説明するのって、すごく難しいですよ〜。
管 とおる
そうだよね。それに、現場のリーダーたちは忙しい。
「安全教育をしろ」と言われても、資料を作る時間なんてないのが現実だ。
「安全教育をしろ」と言われても、資料を作る時間なんてないのが現実だ。
諏訪 美管
確かに! でも、伝えなきゃ事故は減らないし…どうすればいいんでしょう?
管 とおる
そんな時こそ、「セミナー動画」を見るんだよ。
諏訪 美管
なるほど! 動画を見てもらうだけなら私でもできます!
ベテランの職人さんも聞いてくれそうですね!
ベテランの職人さんも聞いてくれそうですね!
管 とおる
その通り。安全管理にゴールはないからこそ、学び続ける仕組みが必要なんだ。
大切な仲間が「笑顔で家に帰る」ために、このセミナーをぜひ活用してほしいんだ。
大切な仲間が「笑顔で家に帰る」ために、このセミナーをぜひ活用してほしいんだ。
「笑顔で家に帰る」。その当たり前を守り抜くために
ここまで、下水道現場特有のリスクや、今日から実践できる改善策をご紹介しました。しかし、現場の安全を本当に強固なものにするためには、一度きりの注意喚起ではなく、「最新の知識をアップデートし続ける仕組み」が不可欠です。
「安全管理にゴールはありません。現場の環境も技術も変化する中、私たちも学び続けなければ、明日の事故は防げないのです」
この言葉は、多くの事故原因である「マンネリ」や「慣れ」への警鐘でもあります。
あなたの現場の安全意識を再起動(リブート)させるために、ぜひこのオンラインセミナーをご活用ください。
下水道のお困りごとは
カンツールでは 現場トラブルの相談や 機器のデモンストレーション等 を行っております。
ご要望がございましたらぜひご利用ください。
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