管 とおる
みかんちゃん、ただいま。JICAのプロジェクトでモンゴル・ウランバートルへ技術指導に行ってきたよ。
管 とおる
あはは、確かにそうだね。今のウランバートルは高層ビルが立ち並ぶ大都市だよ。
ただ、冬の寒さは想像を絶したよ。外気温マイナス23度だからね。
ただ、冬の寒さは想像を絶したよ。外気温マイナス23度だからね。
諏訪 美管
ま、マイナス23度!?鼻毛が凍っちゃいますよ~!
管 とおる
本当にそうなりそうだったよ(笑)。その環境での旅の話をこれから行うね。
JICA(国際協力機構)の技術支援プロジェクトとして行われた、ウランバートル市上下水道公社(USUG)への最新鋭TVカメラ車「ロビオン(Rovion)」のメンテナンス指導がありました。
「高精度な機材ほど、故障した際の修理費やダウンタイムが恐ろしい」……これは国境を越え、下水道維持管理に携わるすべてのプロフェッショナルに共通する切実な悩みではないでしょうか。
今回は、極寒の地で繰り広げられた技術指導の舞台裏から、数百万単位の損失を防ぐ「予防保全」の極意、そして調査の命である「距離測定」のトラブル解決まで、現場のリアルな視点で徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたの現場でも明日から実践できる「機材を愛護し、調査精度を劇的に高めるヒント」が見つかるはずです。
モンゴル・ウランバートルの下水道インフラを支える国際協力
東京都下水道局の組織概要と国際展開でも紹介されている通り、都は2024年6月からJICAプロジェクトを通じて、モンゴル・ウランバートル市の上下水道公社(USUG)へ全力の技術支援を行っています。今回のミッションの主役は、現地で活躍中の最新鋭TVカメラ車「ロビオン(Rovion)」。
不具合を直すのはもちろんですが、何より大切なのは「壊さないための知恵」を伝えることなんです。
「現場のリアル」を、とおるとみかんの会話で覗いてみましょう。
諏訪 美管
とおるさん!マイナス23度って……もはや冷凍庫の中じゃないですか!
そんな極寒で機材はちゃんと動くんですか?
そんな極寒で機材はちゃんと動くんですか?
管 とおる
本当にそうなりそうだったよ(笑)。でも、そんな過酷な環境だからこそ、下水道というインフラを守るための「正しい機材の扱い方」が重要なんだ。
僕たちの役割は、ただ修理するだけじゃない。「なぜ故障するのか」を理解してもらい、自分たちで機材を守る「予防保全」の考えを根付かせることにあるんだよ。
僕たちの役割は、ただ修理するだけじゃない。「なぜ故障するのか」を理解してもらい、自分たちで機材を守る「予防保全」の考えを根付かせることにあるんだよ。
諏訪 美管
なるほど!とおるさんの「機材愛」をモンゴルに届けてきたんですね!
詳しく教えてください!
詳しく教えてください!
人口が集中し、急成長を続けるウランバートル市。立派なビルが建ち並ぶ裏側で、地下のインフラ老朽化は待ったなしの状況です。日本の下水道で培った「維持管理の魂」をモンゴルの未来へ繋ぐ。この氷点下のミッションには、街の当たり前の日常を守るという、大きな責任とワクワクが詰まっているのです。
極限環境マイナス23度。インフラ維持管理が直面する「冬の試練」
2月24日、成田からの直行便を降りた瞬間に感じたのは、刺すような冷気。日本ではまず味わえないマイナス23度の世界です。空港から市内へ向かう道中、月明かりに照らされた雪原がどこまでも続いていました。この過酷な気候は、下水道管理にとっても天敵。機材が凍りつき、作業員の体温を奪う「冬の試練」があるからこそ、「正確な調査」と「愛着を持った取扱い」が、日本以上に重要になってきます。
宿泊先の窓から見えるウランバートルの夜景は、華やかなスポーツジムや商業施設が輝き、日本の都会と見紛うほど。でも、その足元には解決を待っている課題がたくさん眠っています。僕たちはこの地で、日本の技術がどこまで通用するのか、真っ向から挑戦することにしました。
空港のトイレを使用したところ、TOTO製のシャワートイレが設置されていた。
トイレは水洗式だが、配管が細いためペーパーは流さずにゴミ箱に捨てるのが「モンゴリアンスタイル」との事で、早速文化の違いを体感。
【現場指導】高額修理を防ぐ!TVカメラ車取扱いの重要ポイント
2月25日、私たちは新設されたばかりのUSUG(ウランバートル市上下水道公社)庁舎にて、技術協力の具体的なロードマップについて打合せを行いました。ウランバートルの下水道管理が新しい時代へ動いている証拠です。
諏訪 美管
わあ、立派な庁舎ですね!ここからモンゴル全土の維持管理が変わっていくんだ……。
でもとおるさん、肝心の「ロビオン」の調子はどうだったんですか?
でもとおるさん、肝心の「ロビオン」の調子はどうだったんですか?
管 とおる
機材をガレージへ移動して点検して、
高精度な電子機器を大事に使う方法、「なぜ故障が起きるのか」という根本を伝えたよ。
高精度な電子機器を大事に使う方法、「なぜ故障が起きるのか」という根本を伝えたよ。
車で15分ほど離れた機材ガレージには、モンゴルの地下インフラ調査の要である「ロビオン」が待機していました。
現地指導において私が最も強調したのは、「日常の何気ない動作が招く重大故障」の防止。日本での導入研修でも必ず伝えている、致命的故障を避けるための「2大原則」を徹底レクチャーしました。
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「通電のまま配線の抜き差し」の絶対禁止電源を入れたままケーブルを抜き差しする「活線挿抜」は、電子回路を一瞬で破壊するサージ電流を発生させます。
これは海外の現場で最も多い故障原因。必ず電源をOFFにするという基本動作を徹底させました。 -
直射日光による「レンズ焼損」の防止管内用の高感度カメラを地上で太陽に向け続けると、イメージセンサーが焼けてしまいます。
未使用時はレンズキャップを徹底するか、カメラを伏せる。この一工夫が機材の寿命を劇的に延ばします。
「壊さない技術」こそが、インフラ維持管理の基盤となります。
指導を支えてくれたのは、通訳のシュレーさんと、私たちが用意した「モンゴル語字幕付きの取扱注意動画」です。
「マインド」の共有が、技術の自立へと繋がります。
マイナス20度を下回る過酷なガレージの寒さも、彼らの熱意の前では忘れられるほど。単なる操作方法の伝達ではなく、「機材を愛護し、長く使い続けるためのマインド」を共有できたこと。これこそが、今回の指導における最大の収穫と言えるでしょう。
トラブル解決!調査の「命」である距離測定の精度の検証
下水道調査において、管内の破損箇所の「正確な位置」を特定することは、その後の補修計画の成否を分ける極めて重要な要素です。出国前、TGS(東京都下水道サービス)より受けていた相談は、現地ロビオンの「エンコーダーが表示する距離と、実際の管路延長に誤差が生じる」という問題でした。
諏訪 美管
距離の誤差……これって地味に一番怖いトラブルですよね。位置がズレたら、せっかくの調査が無駄になっちゃう!
管 とおる
その通り。だから僕たちは到着後すぐにガレージにこもって、徹底的に原因を調べたんだ。
機械の故障なのか、それとも……。
機械の故障なのか、それとも……。
現地到着後、直ちにガレージ内で徹底した検証作業を開始しました。カメラケーブルの基準点を確認し、以下の2つのアプローチで精度を検証しました。
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地上走行テストケーブルを直線状に伸ばし、エンコーダーの数値と実測値を確認。
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模擬管内走行テスト実際に管内を走行させ、管壁との摩擦やケーブルのたわみを考慮した実運用に近い状態で検証。
「基準の明確化」こそが、下水道調査データの信頼性を担保する。
検証の結果、エンコーダー自体には一切の異常は見られませんでした。
原因は、「距離測定の基準となるテープがない」ことにありました。
現地の機材には基準テープが設置されておらず、オペレーターが誤って計測をしていました。
管 とおる
「道具が正しくても、使い方が正しくなければ」……
正しいセットアップ手順を伝えたら、誤差問題はあっさり解決したんだ。
正しいセットアップ手順を伝えたら、誤差問題はあっさり解決したんだ。
【番外編】モンゴルに押し寄せる中国製「光硬化」設備の見学
ミッションの合間、USUGが新たに導入した中国製の「部分補修用光硬化(UV)設備」のテスト現場を見学する機会がありました。諏訪 美管
中国製の光硬化設備ですか!日本の現場とはまた違う雰囲気なんでしょうか?
管 とおる
驚かされたのは、その操作性の簡便さだね。
専用タブレットで補修材を選ぶだけで、圧力や照射時間が自動設定されるんだ。まさにモンゴルが最新技術の実験場になっているのを感じたよ。
専用タブレットで補修材を選ぶだけで、圧力や照射時間が自動設定されるんだ。まさにモンゴルが最新技術の実験場になっているのを感じたよ。
こうした他国製設備との比較を通じても、「精密な調査(日本・ドイツ製)」と「迅速な補修(中国製)」をいかに組み合わせていくか、モンゴルのインフラ維持管理の未来像を考える貴重な機会となりました。
タブレット操作で完結する簡便さが、世界の維持管理現場を変えようとしています。
SDGsが繋ぐ未来:モンゴルの下水道維持管理の展望と知識の継承
二日間という限られた時間ではありましたが、今回の技術指導は単なる「操作説明」を超え、モンゴルの地下インフラの未来を守るための重要な一歩となりました。今回の支援活動は、SDGs(持続可能な開発目標)の目標6「安全な水とトイレを世界中に」および目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」を具現化するものです。指導の締めくくりとして、私は現地のオペレーターたちへ、「機材の寿命を延ばし、調査精度を維持するための日常メンテナンス」として以下の2点を強くアドバイスしました。
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QCDホイール周辺の定期清掃タイヤを固定する突起部分に汚れが付着したまま放置すると、固着して動かなくなる恐れがあります。1ヶ月に1回程度の徹底清掃を提案しました。
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カメラケーブルの徹底保護自走車回収時にケーブルをウエス(布)等で拭き取るだけで、外皮の劣化を劇的に防げます。現地で見つかった「ケーブルの折れ」や「外皮の破れ」といった損傷をこれ以上増やさないための、現場の知恵です。
現地スタッフの目の前で「正しい手順」を見せることで、納得感のある指導を行いました。
「私たちが去った後も、この技術が守られるか」。その不安を解消してくれたのは、JICA職員としてUSUGに所属する的場氏の言葉でした。現場での実作業において、距離設定やケーブルの清掃が正しく行われているかを継続的に確認・指導していくという心強い約束をいただき、「知識の継承」というバトンが確実に渡されたことを確信しました。
2月27日、帰国日の朝。空港周辺の外気温は来訪以来最も低いマイナス28度に達していました。滑走路の向こうに広がるのは、朝日を浴びて輝く、まるで砂糖菓子のように真っ白で幻想的な雪原。この美しい風景の下には、私たちが共に点検した下水道が流れています。
この静謐な大地を守るために、日本の下水道技術が受け継がれていく。
近年、急速な発展を遂げるウランバートル。道路舗装やマンホールの整備など課題は山積していますが、今回お伝えした知見が、モンゴルの人々がより安全で快適な暮らしを送るための一助となれば幸いです。
管 とおる
最後はマイナス28度という極限の寒さでしたが、TGS(東京都下水道サービス)の皆様や現地の熱意に支えられ、無事に「知識のバトン」を渡すことができました。
諏訪 美管
マイナス28度……!バトンを持つ手まで凍りついちゃいそうですけど、日本の技術でモンゴルの皆さんの暮らしが温かくなるなら、とっても素敵ですね!
管 とおる
その通りです。機材を愛護し、正しく使う。この「当たり前」の積み重ねが、国境を越えて街の未来を守る力になります。僕たちも、国内・海外問わず全力でサポートしていきましょう。
諏訪 美管
はい!私もまずは機材の名前を覚えるところから……モンゴルの羊パワーに負けないくらい、元気いっぱい頑張りますっ!
下水道のお困りごとは
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