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下水管で見つかる代表的な異状(腐食・たるみ・破損・浸入水ほか)と判定基準【第7話】

2021年4月27日火曜日

公共下水道/カメラ調査

下水管で見つかる代表的な異状(腐食・たるみ・破損・浸入水ほか)と判定基準【第7話】
下水管の修繕・改築は「古いから」で決めると、優先順位を誤りやすくなります。
まずは下水管点検で管内の異状(腐食・たるみ・破損・クラック・ズレ・浸入水など)を早期に拾い、
必要に応じて下水管調査で範囲と原因を深掘りしたうえで、ランク判定緊急度判定につなげるのが基本です。

この記事では、現場で遭遇しやすい下水管の異状の種類を「写真付き」で13項目に整理しました。
点検中に「これは危ない?」「調査に進めるべき?」「清掃で済む?」と迷ったときの判断材料として使えるよう、
放置リスク(閉塞・不明水・道路陥没)とセットで要点をまとめています。

自治体の下水道担当者の方、維持管理会社の技術者の方は、
このページを点検チェックリストとしてブックマークして活用してください。


管 とおる

みかんちゃん、下水管の修繕や改築する場所をどうやって選定しているか分かったかな?
→前回の話【点検と調査の機械の使い分け その1】←

諏訪 美管

はい!
①まずはささっと管の中を見る点検をする。
②異状があったら直視側視式カメラで調査して悪い箇所にランクをつけていく。
③ランクをもとに腐食・たるみ・管の異状の3つを考慮して緊急度判定を行う、でしたよね。

その通り!!よく勉強しているね。

調査では、管のたるみまで測定できる直視側視式カメラが適しているって話をしたけど、今日は【点検】でどのような異状が見つかるかを教えるね!

はいっ!!



下水管はどんな異状が発生するの?

下水管の維持管理では、まず点検で「異状の有無」を早くつかみ、
必要に応じて調査で原因や範囲を深掘りします。
ここでは、現場でよく見つかる下水管の異状の種類をまとめて紹介します。

そういえば、下水管の異状ってどんなものがあるか、まだ詳しく話してなかったね。
点検でよく見つかる異状には、どんなものがあると思う?

前回教えていただいた【たるみ】とか、【ひび割れ(クラック)】や【破損】ですか?
他にもいろいろありそうですね。

下水管の中のことは、日頃から管内を見ている人に聞くのが一番なんだ。
今日は「異状の種類」を分かりやすく教えてくれる頼もしい助っ人を呼んでいるよ。

もちろんです!!
外部の方にお会いするの、はじめてで緊張します…!



下水管の点検で異状の種類を学ぶ導入シーン
ラット君
みかんちゃん、はじめまして!ボクはとおるさんの友達のラットです。
下水道のことを学ぶために、地球に通いながら管内の異状を研究しているんだ!

ね、ね、ねずみーー!!??
しかもしゃべった~!!Σ(・ω・ノ)ノ!?

驚かせてごめんなさい。
とおるさんに下水道のことを相談しているうちに、言葉を覚えてしまってね。
こっそり行動しながら、下水管の点検で見つかる異状を観察しているよ。

宇宙人?いや、宇宙ネズミ(・_・;)?宇チューだけに!?
ちょっと気持ちの整理ができません…!

ってのは置いといて(笑)、ラットくん。
下水管ではどんな異状が起きるのか、現場目線で教えてもらえるかな?

はい(笑)


異状の種類


下水管の中をパトロールしているといろいろな異状を発見するんだ。
異状のランクごとに状態もこんな風に違うんだよ。
ランクというのは前回お話に出ていた判定基準に基づいて設定しているんだよ。【クリックで拡大】
①下水管の異状を種類ごとに、定量的に損傷度を判定する(ランクを定める)。

ヒューム管・陶管


塩ビ管

引用:公益社団法人日本下水道協会「下水道維持管理指針 実務編 -2014 年版-」  抜粋



腐食(硫化水素による下水管の劣化)


下水管の腐食は、下水から発生する硫化水素などの影響で、管の内側から進行します。
進行すると表面が剥離して鉄筋が露出し、構造の強度低下につながるため、点検での早期発見が重要です。

ランク A B C
状態の目安 鉄筋露出 骨材露出 表面が荒れている
下水管の腐食Aランク(鉄筋露出)点検画像
下水管の腐食Bランク(骨材露出)点検画像
腐食Aランク 腐食Bランク
下水管の腐食Cランク(表面が荒れている)点検画像
腐食Cランク


たるみ(逆勾配を引き起こす下水管の変形)


下水管のたるみは、施工時の転圧不足による圧密不良や、
経年劣化・地盤沈下などが原因で発生します。
たるみが生じると管内が逆勾配となり、水が流れにくくなります。
その結果、下水が滞留しやすくなり、腐食悪臭、閉塞の原因となるため注意が必要です。

管径区分 A B C
700mm未満 内径以上 内径の1/2以上 内径の1/2未満
700mm~1650mm 内径の1/2以上 内径の1/4以上 内径の1/4未満
1650mm以上 内径の1/4以上 内径の1/8以上 内径の1/8未満
下水管のたるみAランク(大きなたるみにより逆勾配が発生している状態)
下水管のたるみBランク(流下に影響が出始めている状態)
たるみAランク たるみBランク
下水管のたるみCランク(軽微なたるみが確認できる状態)
たるみCランク


破損(下水管の欠落・ひび割れによるリスク)


下水管の破損は、老朽化外圧、内部からの腐食、施工不良、他工事の影響など、複数の要因で発生します。
特に埋設後30年以上経過した管渠で見られやすく、損傷が進むと道路陥没につながるおそれがあります。
点検で早期に発見し、調査・改築の優先度を判断できる状態にしておくことが重要です。
管種 A B C
鉄筋コンクリート管 欠落
軸方向クラック:幅5mm以上
軸方向クラック:幅2mm以上 軸方向クラック:幅2mm未満
陶管 欠落
軸方向クラック:管長の1/2以上
軸方向クラック:管長の1/2未満
下水管の破損Aランク(欠落が確認できる)直視画像
下水管の破損Aランク(欠落が確認できる)側視画像
HP 破損Aランク(直視) HP 破損Aランク(側視)
下水管の破損Bランク(軸方向クラックが確認できる)直視画像
下水管の破損Bランク(軸方向クラックが確認できる)側視画像
HP 破損Bランク(直視) HP 破損Bランク(側視)
下水管の破損Cランク(軽微な損傷が確認できる)直視画像
下水管の破損Cランク(軽微な損傷が確認できる)側視画像
HP 破損Cランク(直視) HP 破損Cランク(側視)


クラック(下水管のひび割れ:老朽化・外圧による損傷)


下水管のクラック(ひび割れ)は、破損と同様に経年劣化交通荷重などの外圧で発生します。
放置すると損傷が進行し、浸入水土砂流入の原因になり、維持管理コストやリスクが増えるため、点検段階での把握が重要です。
管種 A B C
鉄筋コンクリート管 円周方向クラック:幅5mm以上 円周方向クラック:幅2mm以上 円周方向クラック:幅2mm未満
陶管 円周方向クラック:長さが円周の2/3以上 円周方向クラック:長さが円周の2/3未満
下水管のクラックAランク(円周方向のひび割れ:幅が大きい)直視画像
下水管のクラックAランク(円周方向のひび割れ)側視画像
HP クラックAランク(直視) TP クラックAランク(側視)
下水管のクラックBランク(円周方向のひび割れ:中程度)直視画像
下水管のクラックBランク(円周方向のひび割れ)側視画像
HP クラックBランク(直視) HP クラックBランク(側視)
下水管のクラックCランク(円周方向の軽微なひび割れ)直視画像
下水管のクラックCランク(円周方向の軽微なひび割れ)側視画像
HP クラックCランク(直視) HP クラックCランク(側視)


ズレ(下水管の継手ズレ・脱却:接続不良による段差や隙間)


下水管の「ズレ」は、ソケット(継手)部の接続不良脱却によって管同士に隙間・段差が生じる異状です。
隙間から浸入水土砂流入が起きたり、段差が原因で流下機能の低下(堆積・閉塞)につながることがあります。
進行すると路面下の空洞化が進み、道路陥没リスクが高まるため、点検での早期発見が重要です。

管種 A B C
鉄筋コンクリート管 脱却 70mm以上 70mm未満
陶管 脱却 50mm以上 50mm未満
下水管のズレAランク(脱却)点検画像
下水管のズレBランク(継手ズレ)点検画像
ズレAランク ズレBランク
下水管のズレCランク(軽微な継手ズレ)点検画像
ズレCランク


浸入水(下水管への地下水流入:不明水・陥没リスクの原因)


「浸入水」は、管渠の水密性不良(継手・取付管まわりの隙間)や、クラック・破損などの損傷箇所から 地下水が下水管内へ流入している状態です。
浸入水は土砂の流入や周辺地盤の空洞化につながり、進行すると道路陥没などの重大事故の原因になります。
また、処理場へ流れ込む水量が増えることで不明水として維持管理コストにも大きく影響します。

ランク A B C
状況 噴き出ている 流れている にじんでいる
下水管の浸入水Aランク(噴き出し)点検画像
下水管の浸入水Aランク(噴き出し:側視)点検画像
浸入水Aランク(直視) 浸入水Aランク(側視)
下水管の浸入水Bランク(流れ)点検画像
下水管の浸入水Bランク(流れ:側視)点検画像
浸入水Bランク(直視) 浸入水Bランク(側視)
下水管の浸入水Cランク(にじみ)点検画像
下水管の浸入水Cランク(にじみ:側視)点検画像
浸入水Cランク(直視) 浸入水Cランク(側視)


突き出し(取付管の突出・モルタル等による流下阻害)


「突き出し」は、取付管の切り残しやモルタルのはみ出しなどが管内に突出し、流下を阻害して閉塞(詰まり)の原因となる異状です。
非開削工法(更生)を行う場合は、ライニング前に削り取り・除去作業が必要になることがあります。

ランク A B C
状況 内径の1/2以上 内径の1/10以上 内径の1/10未満
下水管の突き出しAランク(内径の1/2以上)点検画像
下水管の突き出しBランク(内径の1/10以上)点検画像
突き出しAランク 突き出しBランク
下水管の突き出しCランク(内径の1/10未満)点検画像
突き出しCランク


油脂(飲食店排水による油分付着・閉塞)


「油脂」は、主に飲食店などからの排水に含まれる油分が管内に付着・堆積することで発生する異状です。
油脂は時間の経過とともに固着し、管径を狭めて閉塞や流下能力の低下を引き起こします。
高圧洗浄などの定期的な清掃に加え、排水側でのグリーストラップ管理など根本対策が重要となります。

ランク A B C
状況 内径の1/2以上閉塞 内径の1/2未満閉塞
下水管内に堆積した油脂Aランク(内径の半分以上閉塞)点検画像
下水管内に付着した油脂Bランク(内径の半分未満閉塞)点検画像
油脂Aランク 油脂Bランク


樹木根侵入(下水管への根の侵入・閉塞)


「樹木根侵入」は、地上の樹木や植栽の根が、管渠の水密性不良箇所クラック・継手部などの隙間から 下水管内へ侵入している状態です。
侵入した根は下水中の水分や栄養分で成長し、次第に管内を占拠して流下阻害や閉塞を引き起こします。
放置すると根の成長によって管の損傷が進行し、補修・更生範囲が拡大するため、早期の発見と除去が重要です。

ランク A B C
状況 内径の1/2以上閉塞 内径の1/2未満閉塞
下水管内に侵入した樹木根Aランク(内径の半分以上閉塞)点検画像
下水管内に侵入した樹木根Bランク(内径の半分未満閉塞)点検画像
樹木根侵入Aランク 樹木根侵入Bランク


モルタル(施工時排水による管内硬化・流下阻害)


「モルタル」は、施工時や周辺工事に伴う排水によってモルタル分が下水管内へ流入し、管内で硬化・付着した異状です。
硬化したモルタルは管径を狭め、流下阻害や閉塞の原因となります。
非開削工法(更生)を実施する場合は、事前に削孔・除去作業が必要となるケースが多く、点検段階での把握が重要です。

ランク A B C
状況 内径の3割以上 内径の1割以上 内径の1割未満
下水管内に硬化したモルタルAランク(内径の3割以上付着)点検画像
下水管内に付着したモルタルBランク(内径の1割以上付着)点検画像
モルタルAランク モルタルBランク
下水管内に軽度付着したモルタルCランク(内径の1割未満)点検画像
モルタルCランク


接合不良(本管と取付管の接続不良)


接合不良は、本管と取付管の接続部における施工不良や経年劣化によって発生します。
接続部に隙間や段差が生じることで、浸入水や土砂の流入箇所となり、
管内堆積・閉塞・路面陥没などのリスクを高めるため、点検時の確実な確認が重要です。

下水管の接合不良(本管と取付管の隙間)点検画像
取付管接続部の接合不良による浸入水発生状況
下水管接合不良部からの土砂流入が確認された事例


パッキンハズレ(ソケット部の水密性不良)


パッキンハズレは、下水管ソケット部に設置されている水密性確保用パッキンが、
施工不良や管のズレ、経年変化などにより管内側にはみ出している状態です。
はみ出したパッキンは流下を阻害するだけでなく、浸入水・土砂流入・堆積物付着
起点となるため、管内調査時に確実な確認が必要です。

下水管ソケット部でパッキンが管内にはみ出している状態
下水管内部に突出したパッキンによる流下阻害の確認画像


土砂(管内への土砂流入・堆積)


土砂は、下水管の破損・接合不良・浸入水などを起点として、
周辺地盤の細粒分が管内へ流入・堆積することで発生します。
土砂が堆積すると流下断面が縮小し、流下阻害や閉塞、
さらには汚水滞留・腐食進行・道路陥没の原因となるため、
点検時には堆積量と発生要因の両面から評価することが重要です。

下水管内に土砂が堆積し流下断面が縮小している状態
下水管底部に土砂が堆積し閉塞傾向となっている点検画像
わぁ〜!下水管の中って、こんなにいろんな異状が起こるんだね。

うん。特に損傷が進んだ場所は、放置すると危険なんだ。
だから下水管の点検下水管の調査は、本当に大事なんだよ。

すごく納得したよ〜!ありがとうラットくん♡

異状の話が長くなっちゃったから、今日はここまで。
次回は下水管点検の機器について、もう少し詳しく説明するね。

おいらも一緒に説明するよ!

はい、よろしくお願いしまチュー🐭

たははは(^_^;)

諏訪 美管

続きはこちら
下水道点検と調査の基礎知識:効果的な機器の選択と使用方法 (第8話)

下水管の状況に応じた点検機器の種類と選び方を、クイズ形式でわかりやすく解説しています。



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