株式会社カンツールは、下水道維持管理の大切さを広く普及させるためにオンラインセミナーを開催しています。
日々の業務でご活用いただける有益な情報を提供できるよう、精一杯努めます。
第12回「不明水とは?現場と報告書について説明します」
「不明水」は、下水道処理におけるコスト増、設備への負荷、環境や安全へのリスクなど多くの問題を引き起こします。
本セミナーでは、現場での確認方法から報告書の作成手法まで、実践的な内容を解説します。
- 不明水の定義と種類(常時・雨天時・直接浸入)
- 調査手法(目視・流量測定・煙送・染料調査など)
- スクリーニング調査の種類
- 調査報告書の作成ポイント
施設管理者、設計事務所、施工会社など、多くの方にご活用いただける内容です。どうぞお見逃しなく!
講師紹介(佐々木啓至)

下水道の現場経験25年以上。技術営業、報告書作成、機器開発、研修講師など多方面で活躍中。
下水道管路管理業協会の専門技士・主任技士・総合技士資格保有。
技術士補(上下水道部門)としても活動。
申し込みについて
セミナー時にいただいたご質問と回答
※アンケートでいただいたご質問は随時追加していきます。
ご質問以外のご意見やご相談について、アンケートでいただいたご意見は今後の事業・運営に活かし、新たな価値を提供できるよう役立てていく所存です。ご相談事に関しましては担当営業より別途ご案内させていただきます。その他、ご不明点やお困りごとがございましたらお気軽にお問合せください。
今回のオンラインセミナーはアンケート等の送付などで受講証明書をいただくことは可能でしょうか
受講証明書につきましては、sasaki_hiroshi@kantool.co.jp 宛にご送付いただければ、捺印のうえご返送いたします。弊社のフォーマットはご用意がございません。ご容赦ください。
流量計での計測以外に、水温や伝導率で調査する方法もあると聞いています。使い方の違いやメリット・デメリットについて教えてください。
はい、水温や伝導率(電気伝導度)を用いた調査も、不明水の流入を間接的に把握する手法として有効です。
伝導率調査:
雨水や地下水は生活排水に比べて電気を通しにくいため、伝導率が下がる傾向があります。急激に伝導率が低下した場合、清浄な水(雨水や地下水)が混入している可能性があります。
水温調査:
冬季や夏季では生活排水と地下水・雨水で温度差があるため、水温の変化から不明水の流入を推定することができます。
メリット:
・機器設置が比較的簡単で、定点観測が可能
・流量計では気付きにくい小さな変化を捉えやすい
デメリット:
・原因の特定までは難しく、「流入があるかもしれない」という兆候にとどまる
・外気温の影響や地域差が出やすく、複合的な判断が必要
これらの手法は、流量計測と組み合わせることで、より正確な解析が可能になります。
流量のグラフで大病院では休日に平日より早い時間帯に使用水量が多いのはなぜですか?
大病院では、外来診療がない休日でも、入院患者の対応や検査、清掃・洗濯などの業務が早朝から始まるため、平日よりも早い時間帯に水の使用が集中することがあります。
また、休日は職員の交代やシフトの都合で、業務が前倒しになるケースもあり、それがグラフの特徴として現れます。
不明水が、管の老朽化の直接の原因になることはありますか?
はい、不明水、特に雨水や地下水の流入が長期間にわたって続くと、管渠の劣化を早める要因になります。
外圧変動・過負荷による破損:
本来想定していない量の水が流れることで、接合部の緩みや浮き上がり、内面の摩耗が生じます。
海水の混入(沿岸部など):
コンクリート管では塩害により鉄筋の腐食が進み、構造的な弱化が発生することもあります。
マンホールや接合部からの“浸出”現象:
流入と逆に、処理途中の下水が地盤へ漏れるケースもあり、周辺地盤の沈下や陥没の原因になることもあります。
雨天時地下侵入水量の大小から下水管のクラック等を予測できるのでしょうか?
一定の相関性は認められますが、あくまで間接的な兆候に基づく推察に留まります。
たとえば、降雨量の変化に対して処理場流入水量が比例以上に増加する場合や、局所的に特定管路の増水傾向が顕著な場合には、クラック・継手不良・老朽化に伴う漏水性の劣化などが進行している可能性が高いと見なされます。
しかしながら、雨天時における地中水位の変動、土地利用形態、地盤特性等の複合的要因が影響するため、単純な水量変化のみで構造的欠陥を確定することは困難です。
したがって、定量的なデータと組み合わせたうえで、TVカメラ調査や煙試験などの現地調査を併用し、多角的に判定する必要があります。
面測式で、水位が機器よりも低かった時にデータが乱れるケースがあるのですが、浸入水がないことを証明する手立てはあるのでしょうか?
面測式のセンサーは、測定範囲外(例:水位がセンサーよりも低い)ではデータが乱れたり、ゼロとして記録されることがあります。
浸入水が「ない」ことを証明するためには、以下のようなアプローチが有効です:
・晴天日と雨天日の比較グラフ作成:
同条件・同地点のデータで差がなければ、浸入の可能性は低いと判断できます。
・簡易水位計(染色水位など)の併用:
物理的な痕跡で「水が来ていない」ことを確認できます。
・他のセンサー(伝導率、水温)の併用:
水そのものが流れていなくても、センサー周辺に水の変化がないか確認できます。
完全な「ゼロ」の証明は技術的に難しい部分がありますが、多角的な手法を組み合わせることで、非常に高い信頼性をもって「浸入水なし」と判断することが可能です。
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