「調べたいのに調べられない管路が多い」という現場の課題でした。
高水位・停滞水・長距離・曲がり・土砂堆積――。
重点調査の対象ほど、従来のTVカメラでは調査が成立しにくい条件が重なります。
本記事では、重点調査の結果を踏まえながら、
なぜ「調査困難箇所」が問題になるのか、そしてその突破口として
水上走行カメラ(スイロード)が必要とされる理由を、現場目線で分かりやすく解説します。
管 とおる
諏訪 美管
でも正直なところ、
「調査する」って言っても、そんなに簡単じゃないんですよね?
管 とおる
今回の重点調査で改めて分かったのは、
老朽化以上に「調査が難しい管路が想像以上に多い」
という現実なんだ。
諏訪 美管
調べるのが難しいって、
具体的にはどんな管路のことなんでしょうか。
管 とおる
高水位、停滞水、長距離、曲がり、土砂堆積……。
こういう条件が重なっている管路が「調査困難箇所」なんだ。
まずは、ここから重点調査の結果とかを説明していこう
1. 重点調査の「結果」と現場の変化
管 とおる
全国特別重点調査で実際に何が分かったのかという点だよ。
諏訪 美管
管 とおる
諏訪 美管
なんとなく不安、じゃなくて、
「ここは早く対策が必要」って分かったわけですね...
全国で実施されている下水道の全国特別重点調査では、
これまでの維持管理では見えにくかった老朽化リスクが、
数値として明確に示された点が大きな特徴です。
諏訪 美管
全国特別重点調査を知りたい方は:
最新版:下水道の老朽化と対策|全国特別重点調査の全貌とは?(51話)
国が主導する下水道管路の全国特別重点調査について、背景・目的・調査手法・補助制度などを 初心者にも分かりやすく解説した記事です。
国土交通省の公表によると、
2025年8月の発表で優先度の高い重点調査の対象として抽出された管路延長は約813km。
このうち、テレビカメラ調査や目視調査などにより、
約730kmで詳細調査が実施されています。
その調査結果から、
・原則1年以内に対策が必要と判定された区間は約72km
・割合にすると、全体の約9%が「緊急性の高い状態」
であることが判明しました。
腐食・ひび割れ・断面欠損などが確認され、
計画的な補修・更新が必要と判断された管路を含めると、
2~3割程度の管路で何らかの対応が必要と整理されています。
さらに、地中レーダー等による調査では、
調査延長約285kmのうち6箇所で空洞を確認。
数としては多くないものの、
道路陥没につながるメカニズムが実際に確認されたという点で、
非常に重い結果と受け止められています。
重点調査の結果として改めて浮き彫りになりました。
この結果は、
調査方法そのものを見直す必要性を、全国の下水道現場に突き付けることになりました。
※数値は国土交通省発表資料より整理
参考: 下水道管路の全国特別重点調査の実施状況について(国土交通省)
2. スイロードが得意な調査条件|「調査困難」を突破する理由
管 とおる
調査がやりにくい条件が重なっているところもあるんだ。
諏訪 美管
管 とおる
曲がりや長距離があったりして、
従来の調査方法が成立しないケースが浮き彫りになったんだ。
諏訪 美管
全国特別重点調査の結果から明らかになったのは、
老朽化そのもの以上に、
「調査ができない条件を多く含む管路が一定数存在する」という現実です。
実際、重点調査の対象となった管路には、
次のような条件が複合的に重なっているケースが多く見られました。
高水位や土砂堆積など、条件が重なることで調査が難しくなる
- ①常時高水位で、TVカメラが水没する
- ②流れがなく、フロート式カメラが前進できない
- ③延長が数百メートル以上と長距離
- ④途中に曲がりがあり、通線が成立しない
- ⑤管底に土砂が堆積している
これらは、重点調査の「対象」になりやすい条件である一方、
従来の調査手法では、
調査そのものが成立しない、または極めて非効率になる条件でもあります。
こうした背景の中で注目されているのが、
水上走行カメラ(スイロード)です。
・水に浮いた状態で自走できるため、高水位でも使用可能
・流れがなくても推進力を持って前進できる
・左右の操作が可能で、曲がりを含む管路にも対応
・ケーブルを引きながら、長距離調査が成立
という特性を持ち、
これまで「調査不能」と判断されがちだった条件を、調査対象へと引き戻す役割を果たします。
諏訪 美管
従来のTVカメラでは調査が難しい条件下でも、水面を走行しながら管内状況を確認できる調査機器です。
重点調査の結果が示したのは、
単に老朽管が多いという事実ではなく、
従来の調査技術だけでは、リスクの全体像を把握できないという点でした。
その意味で、スイロードのような水上走行型の調査手法は、
重点調査を「やり切る」ために必要な選択肢として、現場での役割を確実に広げつつあります。
諏訪 美管
水上走行カメラをもっと知りたい方は:
【特別重点調査】調査困難箇所を調査する水上走行カメラとは?(57話)
老朽化した大口径下水道管の“調査困難箇所”を、SROD水上走行カメラでどう調査するかを事例とともにわかりやすく紹介した記事です。従来の機材では困難だった現場の課題とその解決法を解説しています。
3. 特殊現場での活躍ポイント
重点調査の現場では、老朽化だけでなく構造や環境条件そのものが調査を難しくしている管路が数多く存在します。
ここでは、実際に重点調査で課題となりやすい
「代表的な特殊条件」を3つのケースに分けて整理します。
① 伏越し構造
伏越し管路は、河川や道路の下を通過する構造上、常時満水が特徴です。
上下流マンホールと伏越し配管の関係を把握するための参考図
水位差によって下水を再び上流側の高さまで流す仕組みを示している
・汚水を一時的に抜く必要がある
・水位を下げても、汚泥や土砂堆積で管内カメラが進行できないことがある
・結果として準備作業が無駄になりやすい
という課題があり、
実務上「非効率」あるいは「見送り」になりがちな代表例です。
自走式カメラによる調査は困難な状況でした。
そこで、水位を調整し、水面を走行できる水上走行カメラ「スイロード」を用いて、
管路内の調査を実施しました。
管底部に土砂が堆積しやすく、常時高水位となる構造的特徴を示している
② 高水位・停滞水の管路
雨水放流管や河川直結の管路では、流れがほとんどなく、水位だけが高い状態が常態化しているケースがあります。
この条件では、
・TVカメラは水没
・フロート式カメラは推進力不足で停止
・通線、ドローンも成立しない
という理由から、
調査不能と判断されやすい典型的な条件となります。
以下の動画では、管径2400×2400mmの高水位・曲がりを含む長距離管路を
実際に走行・調査している様子をご覧いただけます。
③ 大口径、途中に土砂堆積がある管路
大口径・長距離管路では、清掃を前提としないため管底に土砂が堆積し、自走式カメラが物理的に進めない状態になることがあります。 しかし、こうした条件を含む管路こそ、事故時の影響が大きく、優先的に把握すべきという事実です。
水上走行カメラ「スイロード」は、
高水位で土砂があっても水面に浮いた状態で自走する構造により、
高水位環境でも安定した走行と映像取得を可能にします。
以下の動画では、
管径3000mmの大口径管路において、
高水位条件下でも調査が成立している実際の走行映像をご覧いただけます。
その前提に立ち、対応可能な調査手法を組み込むことが、これからの調査では不可欠です。
4. 新潟の陥没から見える現実|管径2000mm未満でも求められる重点的な調査
管 とおる
これまでは管径2000mm以上を中心に進められてきたんだけど、
最近はその前提が揺らぎ始めているんだ。
諏訪 美管
管 とおる
管径2000mm未満の管路でも、
老朽化が原因とみられる損傷が確認された。
それが考え方を変えるきっかけになったんだ。
重点調査は、これまで管径2000mm以上の大口径下水道管路を主な対象として、これは、事故発生時の影響が大きい管路を優先的に把握する、
合理的な考え方に基づくものです。
しかし近年、
必ずしも「大口径管路だけがリスクを抱えているわけではない」ことを示す事例が、
現実の事故として顕在化しています。
2026年1月に新潟市内で発生した道路陥没事故では、管径約1350mmの下水道管路に損傷が確認され、
老朽化した管路から土砂が流出したことで、
管路周辺の地盤に空洞が生じていたことが公表されました。
参考: 新潟市公式|道路陥没の発生と下水道管路の調査について
本記事では、下水道管路の老朽化リスクや重点調査の背景を理解するための参考資料として掲載しています。
この管路は、全国特別重点調査(原則:管径2000mm以上)の対象外であった点も、
重要な示唆を与えています。
この新潟市の事例は、
「管径が小さいからリスクが低い」「重点調査対象外だから安心」という
従来の捉え方では、
事故を防ぎきれない可能性があることを示しています。
今後の下水道維持管理では、
管径という一つの指標だけに依存するのではなく、
構造・水位・老朽度・周辺環境といった条件を総合的に踏まえたリスク評価が、
より重要になっていくと考えられます。
今後、自治体や維持管理事業者に求められていくことになります。
管 とおる
老朽化だけじゃなく、
「調査ができないままになっている管路」が少なくない
という現実だったと思うんだ。
諏訪 美管
「ちゃんと把握できていない」こと自体が、
リスクなんだって分かりました……。
管 とおる
条件が悪いから除外するんじゃなくて、
「どうやって調べ切るか」まで含めて考える
維持管理が求められていくんだと思う。
諏訪 美管
それが、これからの下水道を守る一歩なんですね。
今日の話、すごくわかりました!
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