みかんちゃんのまとめ解説~下水道の課題と解決に向けた取り組み~(第12話)

2021年7月7日水曜日

調査 点検


管 とおる

みかんちゃん、前回はカンツールの歴史について説明したね。
【第11話】社長登場!創立70周年 カンツールってどんな会社?
さて、今日は下水道業界初心者の方への出前研修!この前お願いしたレポートを元に初講師がんばってね!

諏訪 美管

あ、あわわ・・・(゚~゚;)
ん、、?どうしたの?
とおるさん。ごめんなさい(T_T)
じ、実は練習に集中すぎてレポートをどこかに置いてきてしまいました。 あわわわ、、キンチョウシテカタコトニナッテキチャイマシタ。
まぁ、まぁ、参加者もそんなに多くないと思うし緊張しなくて大丈夫だよ。 みかんちゃんにプレゼンしてもらうのは今まで学んできたことだから( ・ิω・ิ) これまでのおさらい編と思って自信持ってがんばって!








1.下水道と水の循環



え、えええぇ~~~~
めちゃくちゃいっぱいいるじゃないですかーーー(( ;゚Д゚))
吐きそうです Σ( ̄ロ ̄lll)
ははは!大丈夫大丈夫。みんなこの業界初心者だから!全員顔がマンホールだと思えば大丈夫!
(それにしてもこんなに集まるなんて…「みかんちゃん登壇します」と告知していたことはみかんちゃんには内緒にしておこう笑)
さあ、はじまるよ!




みなさんこんにちは~! 株式会社カンツール 営業部の諏訪美管と申します。
これから、健康で豊かな生活を送るために必要な下水道について初心者の方にも分かりやすく説明をしていきます。 どうぞ、よろしくお願いします。


さて、みなさん「下水道」ってどんなイメージを持っていますか? 「くさい」「汚い」「関係ない」って思ってませんか~?

ま、まぁ、確かに汚い部分はあるけど、実はそんなにくさくないし、 見えないところで私たちの生活を守ってくれているとーっても大切なパートナーなんですよ!
なんと言ってもまず、最初に伝えたいことは水の循環です。



水の循環


雨が降って、川や海へと流れてそこから水蒸気となってまた雨が降る。
このサイクルが水の循環です。

もし下水道がないと、汚水がそのまま川に流れて川や海が汚染されて最終的には水が使用できなくなってしまいます。
安全でおいしい水を飲むには、下水道を使って汚水を処理場まで運び、綺麗にしてから川に流す必要があるのです。
下水道は傾斜がついていて、下水が自然と下に流れます。でも、ずーっと下り坂だと深くなりすぎちゃうから、下の図のように途中でポンプを使って浅いところまで汲み上げるんです!これを繰り返すことで、処理場まで下水を運び、綺麗にされた下水はまた川に戻っていきます!これが水の循環!
さて、そんな大切な下水道ですが、日本の下水道を全部足すとどのくらいの長さになると思いますか~?

なんとなんと、約48万km!
ちなみに地球から月までの距離は約38万km。日本の下水道の総延長より地球から月までの距離の方が短いんですよ~!

そして下水管の平均寿命は約50年と言われていて、既に50歳を超えた点検が必要な管は約1.3万kmもあるんです。



下水道の課題

日本の下水道の総延長は約48万km(2021年時点)
下水道の老朽化が進み、もし下水道が使えなくなると、台所やトイレ、お風呂などの水が流せなくなったり生活がとても不便になってしまいます。
だから下水道が継続的に使えるよう耐用年数50年の管を中心に管理をしなければなりません。

そんな下水道の維持管理には大きく分けて3つの課題が…それは
①人の問題
②モノ(管きょの老朽化)の問題
③お金の問題。
点検しなきゃいけない管が増える一方で、点検する人やお金が減少しているんです!

老朽化する下水管は日に日に多くなり、少子高齢化により下水道職員が不足、
人口減少により下水道料金が減少することでおのずと点検費用も減少します。

そこで国土交通省が「維持管理情報等を起点としたマネジメントサイクル確立に向けたガイドライン(マネジメントサイクル)」を策定しました。
これは簡易的な「点検」と詳細に調べる「調査」を組み合わせるとともに情報管理(ICT)を活用することで、限られた人員や時間で効率良く下水道の維持管理を行おうとするものです。


下水道の現状、少し分かっていただけましたか?では次は実際の管について説明していきますよ~



2.公共設備と排水設備

下水道の管は大きく分けて「排水管」と「下水管」(「本管」と呼ばれることもあります)に分けられます。 排水した水は図のように家庭の排水設備の排水管(青部分)を通ってから公共設備の下水道本管(赤部分)に流れます。
公共ますを境にして、公共ますから先は自治体が管理、公共ますまでは家庭で責任をもって管理しなくちゃいけないんです。
公共ますから下水道管に繋がる管は取付管と呼ばれていて調査をすることもあるので覚えておいてくださいね。



排水設備の点検

家庭の排水管の管径はφ150mm以下で、排水の種類に応じて管径が変わります。また曲がりが多いのが特徴です。
排水管トラブルで中を見る必要がある…そんな時に使用するのが、手で押し込んで中を確認する押込みカメラです!
排水管は小さくて曲がりも多いのでカメラヘッドが小型でケーブルがよく曲がる押込みカメラを使う必要があります。
わたしのおすすめはバリュースコープPro!リーズナブルなのに画質はきれいでびっくりしますよ!!
他にもカービングキングなんかは11曲がりも通れるなんてすごいですよね~



公共設備


公共ますから取付管を通れば、いよいよ公共下水道!本管の出番ですね!

下水管は深さ1mから深いところでは30mくらいの位置にあり、直径はφ150mm~3000mmのものまであって、人が通れるトンネルのような大型のものもあります。



清掃や調査のために一定間隔でマンホールが設置されており、「人孔」と呼ばれています。



さてみなさま、ちょっと話を戻して「維持管理情報等を起点としたマネジメントサイクル確立に向けたガイドライン」を覚えていますか?


名前からはちょっと難しそうなイメージだけど、簡単に言うと、老朽化した管の中からどの管を優先して直すかどうかを効率よく見つけ出すための方法が書いてあるんです。

ね、簡単でしょ?
なんてったって日本の下水道は48万キロですから、悲鳴をあげている管をこの方法で効率よく見つけ出してあげましょう!
このガイドラインでは【点検】して異状があっても管を直すかどうかは必ず【調査】してから決めること。点検から【修繕・改築】に飛び級しちゃダメですよ~!
反対に点検して正常な管はわざわざ調査する必要はないので次の管の点検にうつりましょう!



下水道本管の点検・調査

下水管は管の状況や点検・調査の目的に合わせて「いろいろなカメラ」を使います。


まずは点検!点検は素早く簡単に内部の異常が確認できる機器が適しています。スピーディーな点検機器の代表はこの4つ!

点検方法の種類
①管口カメラ(ズームで管内を確認)

②押込みカメラ(押し込んで管内を確認)

③洗浄一体型カメラ(洗浄と同時に管内を確認)

④簡易直視式カメラ(自走して管内を確認)



続いては調査!調査はスピードよりも詳しさ重視!点検で異状の出た管を調べるので、前方(直視)と側面(側視)を見れる側視直視式カメラを使用します。
側視した状態でスケールを表示させれば異常の大きさを測り詳細に以上内容を確認することができます。








3.清掃について


さて、修繕や改築をするまではなくても、管内に異物があったりしたら清掃しなきゃいけません。 公共の下水道を清掃する時はほとんどが高圧洗浄と汚泥吸引でキレイにします。

下水管のほとんどはこの2つの方法で清掃します。
①高圧洗浄

高圧洗浄車から洗浄ノズルのついたホースをマンホールに挿入し、強力な水圧によって下水道管内の汚泥や固形物などを押し流しながらきれいに洗浄します。


②強力吸引

バキュームカーの強力な吸引力で、高圧洗浄で流れてきた汚れや下水道管内に溜まった汚泥や固形物などを吸い込みます。


家の中にある排水管も様々な原因で詰まりが発生することがあります。ここで注目したいのが種類の多さ!排水管は公共下水道よりも構造が複雑。だからいろいろな方法で詰まりをとっていきます!

排水管はこんな方法できれいにします。
①ワイヤー清掃

ワイヤーの先端に管の汚れに対応できるヘッドをつけて管内に回転させながら入れたり引き戻したりしてつまりを除去します。


②高圧洗浄

洗浄ノズルをつけたホースを押込み、強い水流で高圧洗浄します。


③清掃ポンプ

ポンプの力で水を吸い込みつまりを解消します。
吸引による清掃と圧縮空気を送り出す2種類の方法があります。


④薬品

尿石や汚れを溶かしたり剥離させたりして清掃します。


⑤ロッド清掃

長いロッドを使ってつまりを解消します。




こうして、点検したり綺麗にしたりして下水道を守っているんですよ。
以前はわたしも知らない事ばかりでしたが下水道って知れば知るほど深くて面白いんです。
下水道があるからこそ、私達は快適な生活をできるし、普段は見えないけれど、下水道ってとても重要で足元に広がる小宇宙なんです。
今回の研修で、下水道の役割を少しでも知っていただけたら嬉しく思います。
そしてみなさんもこれから下水道業界を盛り上げていってくださいね!
本日はありがとうございました。

みかんちゃんお疲れ様~~。
はぁぁぁぁあ~~~~~~~~
すごく緊張しました~~~~~(; ̄д ̄)
よく話せていたよ!
僕が大事だと思うことは、僕たちの生活には下水道が深く関わっていて、気にかけなきゃいけないって事。 その気持が、よく伝わってきたよ。

ラット君

みかんちゃーん!!かっこよかったよ~
あれ、ラット君も来てたのー!はずかしい!!
おいらもすごく勉強になったよ~!みかんちゃんこういうの向いてるんじゃない?

ありがとう。でもしばらくは発表は遠慮しておきます(笑)
そういえば、とおるさんは、2021年下水道展で下水道展技術発表をするんですよね!
 そうだよ。内容は[遠隔操作を用いた管内カメラ検査システムの実証実験と有効性について]
 会社やみかんちゃんの家からもロビオンを操作して、下水道管の調査ができるようになったんだ。
えぇーーーーーー ❣
それはすごい!!!!
 あ、そういえば車の中にみかんちゃんのレポート落ちてたよ(笑)
よくまとまってたからKANMAGAにも載せておくね(^^)



↓この記事で登場した製品↓
バリュースコープPro
カービングキング
ロビオン
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